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2019年1月30日

「もう刑務所には戻りたくない」 犯罪を繰り返す障害者に必要なのは刑罰か?支援か?

特集

「主文。被告人を懲役8ヵ月に処する」


知的障害がある女性に言い渡された、3度目の有罪判決。


「裁判までかけてする必要があるんかなっていう。自分は兄弟ですけど、不憫やなとしか」(被告女性の兄)


これまでに9回、刑務所に入った男性。


「Qなんで刑務所に入っちゃったと思います?」(記者)

「色々悪さをしていたから。もう向こうは行きとうないし」(男性)


今ようやく、“普通の生活”を手に入れようとしています。


「その人らが何を求めているのかというのをまず考えてあげて、それをどう支援としてできるか」(男性のヘルパー)


犯罪を繰り返す、障害のある人たち。いま、彼らにどのような支援が必要とされているのでしょうか。

万引きを繰り返す 知的障害のある女性

 神戸市に住む山田知子さん(仮名、48)。子どもの頃から、病気とともに生きてきました。


「Q.何の薬ですか?」(記者)

「てんかんです。自律神経の薬です」(知子さん)

「Q.1日に何回くらい飲まれるんですか?」(記者)

「朝昼晩」(知子さん)

「Q.1回あたり何錠くらい?」(記者)

「6錠です」(知子さん)


てんかんに加えて、知的障害もある知子さん。学校ではいじめに遭い、家に引きこもる日々が続いたといいます。知子さんの兄、広さん(仮名、50)は、家族のために朝から晩まで働き、近くに住む知子さんの世話も続けてきました。


「3歳か4歳くらいからずっと物を盗るんですよ。スーパーで盗ってくるとかじゃなくて、そのへんに置いている花壇の植木鉢を盗ってきたりとか洗剤を盗ってきたりとか。」(広さん)


家族の生活が大きく変わったのは、9年前。知子さんが万引きをして、警察に逮捕されたのです。その後も窃盗を繰り返し、去年、2度目となる有罪判決を受けました。次は、刑務所に行かざるを得ないところまで追い込まれたのです。


「もう終わりやで次は。人生終わってまうで。刑務所なんか入ったら。」(兄の広さん)

「おそろしい。」(知子さん)


「なりたくてそういう体になって、そういう癖がついたというか、なっとるんちゃうからね。そこらをわかったってほしい」(広さん)


 万引きは悪いことだと、広さんは、何度も知子さんに説明しました。しかし、わずか半年後。家電量販店に展示されているストーブを盗んだとして、再び逮捕されたのです。知子さんは、むきだしのストーブを抱え、入り口から出たといいます。


結局、家族の力だけでは、再犯を食い止めることができませんでした。


 先月開かれた、3度目の裁判。知子さんは「錯覚が起き、訳も分からず物を盗って、入り口に行ってしまった」と話しました。これに対し、裁判官は「盗癖は顕著であり、規範意識が鈍麻している」として、懲役8ヵ月の実刑判決を言い渡しました。


「もうちょっとこういう子を保護する制度があってもええんちゃうかな。なかなか一個人がやる(世話をする)といっても限界があるから」(広さん)

後を絶たない障害者の再犯 必要なのは刑罰か 支援か

 法務省が実施した調査によると、おととし刑務所入った受刑者のうち、実に2割が、知的障害の可能性があることがわかりました。さらに、出所した障害者の2割以上が、1年ほどの間に、再び刑事施設に入る実態も明らかになっています。


障害者による再犯が後を絶たない現状について、専門家は、「刑罰を与えることの意味を改めて考える必要がある」と指摘します。


「それ(刑罰)を行っても実際には刑務所に入る、出てくる、を繰り返してしまうという結果になってしまっているという現実があるので。本当は犯罪をやめられるような生活を、どうやって手に入れていくか、そのための支援として何が必要かを考えることの方が、刑罰よりおおよそ社会にとっても本人にとってもプラスになるところはあるんじゃないか」(立命館大学・森久智江教授)

9回刑務所に・・・ 支援受け 歩み続ける男性

 現在、刑務所を出る障害者が福祉関係者らと更生に向けた計画を話し合い、支援を受けられる制度があります。


「これな、8個。下の食堂に降ろすから持って行ってくれる?何個持てる?4つ持てる?全部持てる?」(老人ホームスタッフ)

「持てる」(入所者)


 大阪府の老人ホームで暮らす、田中正男さん(仮名、64)。重い知的障害がある田中さんは、20年ほど前から窃盗などを繰り返すようになり、これまでに9回、刑務所に入りました。田中さんもこの制度に則り、老人ホームとは別に、家事や移動の手助けをするヘルパーの支援を受けています。


この日、田中さんは大好きな魚釣りをするため、ヘルパーの富山弘之さんとともに海にやって来ました。


「これ(釣り竿)を軽く投げて」(富山さん)


富山さんは、田中さんに目標を持って生活してもらうことで、少しずつ様子が変わってきたといいます。


「どこかに行ったりとか誰それと会ってという楽しみを持っているので、表情も明るいですし。知的障害者の再犯をどう止めるかというのは本当に難しい話と思うんですけど、抑止力というのは楽しみを何か作ってあげることしかないんかな」(富山さん)


 自分がしたことで、周りの誰かに喜んでもらいたい。田中さんは最近、施設の掃除や植物への水やりなど職員がする仕事の手伝いを始めました。


「Q仕事を手伝っているときどんな気持ちになります?」(記者)

「楽しい」(田中さん)

「Q喜んでくれている感じあります?」(記者)

「うん」(田中さん)


「(田中さんは)簡単なことでも、お手伝いしたらすごく嬉しそうにやってくれますし。(本人に合った)支援がなかったからこそ、再度犯罪に手を染めてしまっていたという背景は今の生活を見ていると読み取れるかなと」(田中さんが入所する施設の職員)

「もう刑務所には戻らない」

 田中さんは、自分を支えてくれる多くの人に巡り会えたことで、更生に向け歩み始めることができました。かつての犯罪に向き合い、“もう刑務所には戻らない”という決意を口にすることが増えたといいます。

「刑務所よりこっちのほうが楽しい。向こうやったらあんまり生活やりにくかった。」(田中さん)

「Qあのときに戻りたいって思います?」(記者)

「もう思わへん。向こうは自由がないし」(田中さん)


「本当に長い目で彼のことを見てくれる人がいてなかったから。今は本人も安心して、この人やったら安心できるんかなっていう人が彼のそばにいるということが、彼が一番更生してきた道かなと思っていますけれど」(富山さん)

「泣き寝入りするしかない・・・」支援を受けられない現実

 神戸市の山田広さん。窃盗を繰り返した妹の知子さんは今月、実刑判決を受けました。

「ほんま何とも言えんですわね。もうしょうがないなって。泣き寝入りするしかないな」(広さん)


最近では、裁判が始まる前から、障害のある人を福祉関係者に繋ぐ取り組みも徐々に広がっていますが、知子さんには適用されませんでした。


「(妹に)福祉関係の中で生きてもらったら一番助かるなというか。支援していただければ、そういう生活をしていくしかないかなと正直思っています」(広さん)


妹に福祉の支援が届き、二度と犯罪を繰り返さないでほしい。広さんはそう願い続けてきました。


 障害のある人が、自分らしく生きる。そのための支援、再犯のない社会に向けた模索ははじまったばかりです。

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特集

2019年1月30日

【ABC特集】外国人労働者に群がるハゲタカ 虚構だらけの技能実習生制度

特集

 静かに相手を追い詰め、弱らせ、果てに、その肉を食らう、ハゲタカ。

 「アンダーのお金が動くっていうことです」(元ブローカー)


 「たくさん実習生入れるほど、たくさん儲けていますね」(元職員)


 ハゲタカのように、外国人労働者を“食い物”にするブローカー。


 「100万」(キエウさん)

 「110万」(タンさん)

 「110万円」(ハウさん)


 「危険なこともあります。給料が全然ありません。特に、除染の仕事をさせられました」(ホンさん)


 問題は、技能実習制度の「根幹」にあることが取材で見えてきました。先週、与党などが賛成し成立した「改正法」で問題はよくなるのでしょうか。



失踪した外国人労働者たちに会った

 「こちらですね。普通の2階建てのおうちですね。電気もついてます。失礼します」(記者)


 ここは、「シェルター」と呼ばれ、ベトナム人技能実習生の男女5人が平文敏(たいら・ふみとし)さんに保護され、暮らしています。全員、職場から逃げ出してきた失踪者です。


 「(料理つくるノイズ)」


 「何を作っているんですか?」(記者)


 「肉を炒める。一緒にタケノコ混ぜて・・・」(キエウさん)


 3年前に技能実習生として来日したキエウさん。北海道の水産工場で働いていました。月の給料は6万円のときもあったといいます。ある日、ほかのベトナム人とけんかになった際、会社から「国に帰れ」と迫られたそうです。


 「私の逃げた時、すごい雪が降っていました。そのときは、安全な冬の靴がなかった。夏の靴、滑る。すごい。でも頑張りました。走りました」(キエウさん)


 その後、偶然近くを通りかかったタクシー運転手に助けられ、支援者と連絡を取ることができたそうです。

 彼も、日本に来て3年のホンさんです。


 「いろいろ重い仕事、汚い仕事だらけさせられました。特に(日本に来て)5ヶ月くらいたって、除染をさせられました。一番怖いのは、高い放射線量の所で仕事をさせられました。(福島県の)浪江で」(ホンさん)


 「(除染作業は)危険だということは言われなかったんですか?」(記者)


 「何にも言わないです。前は私たち日本語をぜんぜんわかりませんでした。何も聞いてなかった」


 ホンさんの目には涙が浮かんでいました。今の制度では原則、一度入った会社を途中で変えることができないため、再び働くことは難しいとされます。しかし、彼らが復職を強く望むのは、来日前に抱えた“多額の借金”があるからです。


 「日本に来るときに、いくらお金を払って来たんですか?」(記者)


 「100万円くらいです/ほとんど銀行から(借りた)」(ホンさん)


 ここにいる全員が、ベトナムの平均年収のおよそ3倍にあたる100万円以上の借金を抱え、日本に渡ってきたといいます。

ルールと実態がかい離する技能実習生制度

 ベトナム人の技能実習生はベトナムにある「送り出し機関」という民間団体に申し込み、日本にある「監理団体」を通じて「受け入れ先企業」へ配属されます。技能実習法では、「監理団体」は“営利を目的としない”と定められています。しかし、制度に詳しい日本語学校経営者は、実態はまるで違うと指摘します。


 「(監理団体は)体裁こそ、名前こそ、“協同組合”と名前はついていますけれども、やっていること自体は完全にブローカー。仲介をして、仲介からくる利ざやをいかに設けるか、っていうことを考えている組織です」(経営者)


 この男性によると、実態はこうです。監理団体は受け入れ先企業に「安い労働力いりませんか?」などと募ると、企業は、「安いなら使いたい」と応えます。これを受けて、監理団体はベトナムの送り出し機関に対し職種や人数を募集。もっとも高い「仲介料」を払ってくれる送り出し機関を選び契約するのです。


 関西周辺に拠点を置いていた「監理団体」の元役員の男性が、表に出ないお金のやり取りについて証言しました。


 「ベトナムの(送り出し機関の)営業が、1日に5件も電話をかけてきたりするんです。送り出し機関は1社でも組合(監理団体)取りたい。じゃあ、どうしたらいいんだと。アンダーで1500(ドル)もらっているのを、1800にしますと、2000にしますと。そのお金っていうのは研修生から取ってくるから、負担は研修生になるわけです」(元役員)


 ベトナムの「送り出し機関」は、日本の「監理団体」を奪い合う中で、ワイロ合戦を繰り広げているといいます。

「送り出し機関」のスタッフは・・・

 「はじめまして。山田と申します」(記者)


 「送り出し機関」に勤め、日本に駐在し、実習生のサポートを担当しているシュアンさん(40歳 仮名)です。


 「私感じるのは、ベトナムの方はみんな苦しいですね。一番儲かるのは監理団体。ブローカーの所が多いかなと思って。たまに、会社もヤクザの会社もあったり、企業でも。そうすると、暴力したりあるんですね」(シュアンさん)


 一方で、信頼できる監理団体もあると話します。


 「(管理団体)全部が悪くないです。きのう私は北海道行ってきた。そこの監理団体はとってもいい。いい企業は実習もいいですよ。すごく笑顔も、がんばっているところも私いっぱい見ているから。お互い理解していると、そこはうまくいくんですね。トラブルもないと思います」(シュアンさん)


 シュアンさん自身も17年前、当時の制度を使って来日し、日本人男性と結婚。職場では、いじめや差別を経験しました。


 「こんなに今、話せるということは、乗り越えて乗り越えて、経験で。つらいことあったから、今こんな話できていると思います」(シュアンさん)


 「(写真を見て)みんな実習生?」(記者)


 「はい」(シュアンさん)


 「楽しそうですね」(記者)


 「楽しいですよ。私そんなことたくさんやります」(シュアンさん)


 シュアンさんは、たびたび料理教室やパーティーを開き、実習生が悩みを相談しやすい環境を作っています

それでも日本が好き!?

 「本案は可決されました」


 昨年末に成立した「改正入管法」で、ブローカーの温床と指摘されている「監理団体」の問題はどうなるのでしょうか。


 改正法では、「監理団体」に代わり「登録支援機関」というものが設置される見込みですが、公的機関ではなく民間が担うと想定され、ただ名前が変わるだけで、実態は変わらないとみられています。


 「埋まらない国内の問題点、穴を、そこの人間たちにお金をチラつかせたら埋めに来てくれるという名の“経済的な植民地化”、っていうのをしているんだろうなと思います」(経営者)


 失踪したベトナム人らは、それでも、日本が好きだと話します。

 

 「私は、日本いつも大好きだよ。でも、一つはある。日本の中で悪い会社は私は嫌いです」(キエウさん)


 「日本にガッカリじゃなくて、会社と監理団体。義務のことやってない」(ホンさん)


 「改正法」の肝心な中身は、今後、議会の承認を必要としない「省令」で定められていくことになります。

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特集

2019年1月30日

注文殺到で3カ月待ち!80代おしどり夫婦がつくる 「幻のパン」は愛情いっぱい おなかもいっぱい

特集

3ヵ月待ちの「幻のパン」

 こんがりふっくらと焼き上がったパン。このおいしそうな「天然酵母パン」は全国から注文が殺到し、3カ月待ちという「幻のパン」です。

作るのは、山内宥厳(やまのうち・ゆうげん)さん(83)と、6歳年上の幸子(ゆきこ)さん(88)ご夫妻。


「僕は82歳。こっちは88。」(宥厳さん)

「あんたひとつ若く言ってんちゃう?(笑)」(幸子さん)

「いや、1月14日で83になる」(宥厳さん)※2018年12月取材


2人が切り盛りする店は、東大阪市にあります。ひと気もなく、さびれた長屋の貸し工場の一角。創業45年の「楽健寺パン工房」です。


小さな子どもを連れた若いお母さんが、お店にやってきました。


「プチとよもぎ」(お母さん)


焼きたての時間にタイミングよく訪れると、こんなおもてなしが。


「焼きたてでーす」(工房のスタッフ)

「ありがとうございます」(お母さん)


「この子が小麦アレルギーで」(お母さん)

「Q.違いますかここのパンは?」(記者)

「そうですね。お腹にずっしり。あと胸焼けしないんです」(お母さん)


知る人ぞ知る「幻のパン」。そこには、おしどり夫婦の「驚くべきこだわり」が、ぎっしりと詰まっていました。

「幻のパン」の秘密に迫る!

 月曜、午前3時。山内さん夫婦の朝は早い。明りをつけ、作業開始です。

「よいしょ・・・・」(宥厳さん)


25キロもある強力粉を抱え工房の中へ。ずっしりと重い寸胴も・・・宥厳さんいわく「天然酵母パンを食べ始めてから丈夫になった」というのですが、一体どんな材料で作っているのでしょうか。


「ケチなことはしない。できるだけいいモノを買ってきてゴージャスにやる、というのを鉄則にしてる」(宥厳さん)


そもそもパンは、発酵して膨らませるため「酵母」という菌が必要。宥厳さんは厳選した素材を使って自家製の天然酵母をつくっています。それが・・・


「これ、ごはん」(宥厳さん)


この「ごはん」を使った天然酵母こそが、人気の秘密。さらに「リンゴ」と、「ニンジン」、それに「長芋」をブレンド。ミキサーにかけ液状にして継ぎ足し、そこへ強力粉を加え、どろりとした状態になるまで混ぜ合わせていきます。一晩じっくり発酵させると・・・天然酵母が生きた、特製の「パン種」が完成。これにまた強力粉を足し、ほどよい固さの生地になるまでこね上げ、再び発酵させます。


「これで大体2時間ちょっと。一次発酵。 それから切って丸めて、それからまた2時間発酵。」(宥厳さん)

「Q.それから焼くと?」

「そうそう」(宥厳さん)


山内さん夫婦がつくるパンは、全部で7種類。食パンやぶどうパン、くるみパンは、440円。ライ麦パンやよもぎパン(3個入り)は、220円です。


「本当は1000円ぐらい取らんととても採算にのらない」(宥厳さん)


といいつつ、30年間値上げせずにやってきたんだとか。


そこで節約!パン工房の中にある発酵庫も自分でつくったんですって。


「これ自分でつくった、全部。本当は水道から直結して、水が減ったら勝手に入るようにしたいけど、水道ひくのがめんどうだから、こうやってポトポト落としてるわけ。」(宥厳さん)


 実は宥厳さん、元はなんと家具職人。そんな宥厳さんも、去年の夏の暑さには耐えられなかったようで、奮発して、あるモノを購入。


「(工房内が)42度ぐらいに上がった。あのクーラーつけたの」(宥厳さん)


パン工房に、ついに「クーラー」がついたのです!しかも吹き出し口にはある工夫が…


「冷たい風くるでしょ。3畳ぐらいしか冷やす能力しかない。それでこっちから降りてダイレクトに扇風機で飛ばす、こっちにね。そしたら12畳ぐらいの効力発揮するわけよ。今年の夏は乗り切った(笑)」(宥厳さん)

ある時は家具職人、ある時はパン職人。その実体は…

 元家具職人で、パンとは無縁の人生を送っていた宥厳さんが、パン作りの道に入ったのは「ある病気がきっかけ」だった、といいます。


「ぜんそくが僕に大きな恵みを与えてくれた。多くの出会いも」(宥厳さん)


ぜんそくを患ったのは20代後半。当時、幸子さんと結婚していた宥厳さんは知人から「天然酵母でつくるパンが健康にいいらしい」と聞き、2人で力を合わせて、パンづくりをスタート。ただ当初から、毎週1回、月曜日だけに限っていました。一体、なぜ・・・?


実は宥厳さん、本職はお寺の住職。38歳のときに出家。以降、何かと忙しく、毎週月曜日だけ、パンを作ってきたのです。


 パン工房に1本の電話がかかってきました。


「はい、工房です。なるべく早く送るようにします、ありがとうおおきに・・・」(幸子さん)


催促の電話を受ける幸子さん。パンは1日に800個しかつくれないため、ほとんどが通販の予約で「完売」。3ヶ月待ちの状態だけに、きっちり管理して発送しないといけない幸子さんですが、お客さんがやってくると・・・


「これプレゼント!」(幸子さん)


なけなしのパンを、ついプレゼント。喜ぶ顔が、うれしいんです。

連れ添って半世紀 「幻のパン」のかくし味は2人の愛情

 結婚して54年。独特な人生を歩む宥厳さんとの時間を振り返ると・・・

「いちいちいろんなこと指摘してたら生きていけない。いいところ見つめ合いながらね。やんちゃですよ、あの人。あんまり言うたらあかんけど。やんちゃを許せる度胸なかったら、あの人とはやっていけない」(幸子さん)


ということで、幸子さんがいなくなった時を見計らって、宥厳さんに聞いてみました。


「Q.昔はかなりやんちゃやったと?」(記者)

「・・・・・・・。年頃になって哲学少年になってきたから女になんて目を向けたことない」(宥厳さん)

「えー!」(幸子さん)


と、遠くからツッコミを入れるのは、事務所に戻ったはずの幸子さん。


「地獄耳や・・・魔女や」(宥厳さん)

「魔女(笑)」(幸子さん)


 魔女も、袋詰めがピークを迎える午後3時になると・・・


「眠いですよ。はは。そりゃ眠いです」(幸子さん)


弱音を吐くのもつかの間、発送する箱にパンを分けていきます。間違いがないようにチェックするのも幸子さんの担当です。


 箱詰め作業も一段落。2人にこんな質問をしてみました。


「Q.これまで苦しいときもありました?」(記者)

「そんな苦しいことなかったんちゃう。僕、苦しいなんて思ったことないよ」(宥厳さん)

「ハハハ」(幸子さん)

「苦しい?今、苦しいか」(宥厳さん)

「いやー、愛してるよ。ハハハ」(幸子さん)


仕事が終わると、幸子さんはおいしいパンが作れたことに感謝しながら、看板を拭きます。


「ご苦労さん、もう今日はこれで終わり、帰ろか」(宥厳さん)

「はい、帰りましょ。どうもありがとうございました」(幸子さん)

「Q.あと何年ぐらいはパン作りを?」(記者)

「あと10年は」(幸子さん)

「まぁ、10年もったら奇跡やろね。現役のパン屋で最長老という」(宥厳さん)

「もう、はずかしい、ね」(幸子さん)


82歳と88歳の夫婦がつくる「幻のパン」。食べて笑顔になってくれる人がいる限り、2人は作り続けます。

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特集

2019年1月29日

大阪万博成功の鍵はミラノにあり?開催から4年 今なお旋風巻き起こる“和食”ブーム

特集

 去年11月、2025年の大阪万博の開催が決定。前々回の万博は2015年、イタリア・ミラノで開催されました。そのミラノで今、大きな変化が起きているんです。


「歴史ある建造物が町のいたるところに残っていて、街を行く人みんながおしゃれで洗練された町という印象です」(ABCテレビ・髙岡加愛記者)


 ファッションの発信地としてその名を世界に馳せるイタリア北部の街、ミラノ。市内の市場に並ぶ野菜も、さぞお洒落なイタリアン!かと思いきや・・・なんと日本で見かける野菜たち!?


「ジャパニーズ大根!」


日本の食材がここ2~3年で急増しているんです。ちなみにイタリアの大根とは形だけでなく、味も違うそうで。


「日本の大根は生で食べる部分、大根おろしにする部分で味が変わるけど、イタリアの大根はどこも同じ味よ」(ミラノ在住の主婦)


日本の食材が売られているのは市場だけじゃありません。スーパーには「みりん」が。さらに餅やお寿司キットなど和食コーナーも設けられていました。その意外な人気は・・・


「シラタキはイタリアではやってる。グルテンフリーだから」(通訳の女性)

「スーパーに和食のコーナーなんてミラノ万博の前はなかったわ」(ミラノ在住の主婦)

食のニッポンブーム きっかけは・・・

 そう、日本の食材がこの街に広がったきっかけは「ミラノ万博」!! 2015年、「食」がテーマだったミラノ万博には、世界各国から2200万人もの人が訪れました。その跡地を訪ねると・・・


「ミラノ万博のシンボル生命の樹ですね」(髙岡記者)


高さ37m、総工費10億円のシンボルは今も健在。ほかにも当時のまま残るパビリオンがちらほらと。その一部はミラノの学生達の活動に使われていました。


 跡地の開発計画は大きく3つ。がんや神経変性疾患などの研究拠点に生まれ変わるほか、ミラノ大学の科学系の学部や、整形外科の病院ができる予定です。


「跡地には1日7万人が行き来する“ひとつの街”を作りたいんだ。万博の成功によりミラノという町の信頼度がアップして跡地の開発に20億ユーロも投資をしてもらえたんだからね」(跡地開発企業CEO ジュゼッペ・ボミーノさん)


ミラノ万博の成功が2500億円という巨額の投資をもたらしていたんです!!万博の成功に大きく貢献した国が・・・


「ここが日本のパビリオンがあった場所なんだ。一番にぎわっていて、多いときは8時間待ちさ。へびみたいな大行列だったよ!スネイク!」(跡地開発企業 マルコ・ラビッティさん)


日本館は最大9時間待ちの大人気。展示部門で金賞に輝きました。中でも大きな反響を呼んだのが…


「ミラノ万博のあと和食の人気は大爆発してるよ!」(マルコさん)

イタリアンマンマの“一汁三菜”

 日本館の成功が今、ミラノの人に、街に、経済に「大革命」を起こしています。ミラノに住む主婦・アンナレーナさんの家を訪ねました。

「ジャパニーズのれん、ジャパニーズドール、ジャパニーズお守り」(アンナレーナさん)


家の中には日本にまつわる品々が。もともと日本が好きだったアンナレーナさん、「和食」に目覚めたきっかけは、6時間も並んで受けた、ミラノ万博での“ある講義”でした。


「6時間も待ったんですか?」(髙岡記者)

「日本館で料理教室に参加して、和食の深さに感動したの。」(アンナレーナさん)


万博に通うこと7回。その時、学んだというお米の研ぎ方、飾り切りなど日本特有の調理法も見事な腕前。レベルアップした今では週に3回以上、和食を手作りしています。


「コンブ!コンブ!」(アンナレーナさん)


だしも昆布から取る本格派です。そのだしでお気に入りの「茶わん蒸し」を作ります。


「空気の泡が入らないことが大事なの。入っちゃった場合はこうやってつぶすとおいしくなるって、これも万博で学んだのよ。和食ってアートよね。」(アンナレーナさん)


およそ1時間でできあがった昼食。メインはいわしの磯辺揚げ、茶碗蒸しにお漬け物もついた一汁三菜、完璧な日本の和定食です。


「いただきます!」(パートナー・ウリッセさん)

「うん、ボーノ(おいしい)!」(アンナレーナさん)

「茶碗蒸しはプリンみたいな食感で好きだな。和食は好きだけどお箸の使い方でよく怒られちゃうんだ」(ウリッセさん)

「お箸を御飯にさすからダメよ!って」(アンナレーナさん)

「ごめんよ~チュッ」(ウリッセさん)

「ミラノ万博のおかげで日本の食材がたくさんはいってきて日本の家庭料理が身近になったわ。」(アンナレーナさん)

和食店の数も2倍以上!オーナーは外国人

 和食がアツイのはイタリアの家庭だけじゃありません!


「火山と書かれた寿司屋さん、10mほどのところにラーメン、また次の角を曲がるとお寿司屋さんがあります」(髙岡記者)


万博のあと、ミラノの和食店は2倍以上に増えました。そのほとんどは、外国人が経営しています。ミラノで話題の和食店。イタリアと寿司を縮めて「ITASHI」も経営しているのはイタリア人のシモーネさん。万博で和食に触れ、オープンしました。


「和食は色や形もきれいで、なにより素材を活かしている。ミラノ万博で和食の哲学に共感して、日本とイタリアが融合したものを生み出したんだ。」(シモーネさん)


そのメニューが「イタマキ」。一見、手巻き寿司のようですが。


「あ、のりじゃないんですね。まぐろじゃなくてお肉ですか?そして御飯がはいっていない。」(高岡記者)


のりに見立てているのはイカスミがはいった小麦粉の生地をあげたもの。その中に、ハムやチーズなどイタリアの食材を入れました。日本人からすると、お手軽なスナックのような感覚ですが、お客さんの反応は…


「具材も色々選べるし、イタマキは美しい発明だよ」(お客さん)

「40回以上通ってるの。おかげで太っちゃったわ。日本の味をうまくアレンジできてるわよね。」(お客さん)


「僕は和食をとっても尊敬しているんだ。だからお米やのりと、イタリアの食材をただあわせただけだと、マネをしているようで和食に失礼だと思ったんだ。」(シモーネさん)


本来の和食と形は違えど、「イタマキ」のルーツは和食の哲学。そう話すシモーネさんが夜明け前向かったのはミラノ中央市場。自らの目で旬の魚、その鮮度を確かめ、新しいメニューを考えます。


「いろんな具材を使って味を複雑にしても魚のクオリティがすべて、それは和食から学んだよ。大阪万博には『イタマキ』をひっさげていくからぜひ出店したいね」(シモーネさん)

「今こそ本物の和食で勝負!」あの外食チェーンも進出

 外国人がアレンジした和食ブーム!本家の日本も黙っちゃいられません。ミラノ中央駅の近くに、去年11月、名古屋市に本社を置く「サガミ」がオープンしました。2015年のミラノ万博に出店し、味噌カツ丼やそばが大好評。「今こそ本物の和食を!」と勝負に出ました。こだわりは、だし。輸入ができないため、毎日手作りです。


「水が硬水なのでだしが出にくい。だしがその日の味を大きく左右するので、見た目は地味なんですけど、日本を再現することに徹底的にこだわっています」(Sagami Itaria s.r.i 取締役・伊佐治誠さん)


一方で、濃い味を好むイタリア人に合うように、味噌カツ丼の白いごはんにはタレをかけ、

天ぷらにはしょうゆをつけて、提供しています。


「このつゆがイタリアのスープには無い味でおいしいよ」(サガミ・ミラノのお客さん)

「パスタとそばどっちが好き?」(髙岡記者)

「そりゃパスタだけどね」(お客さん)

 オープンから1か月。リピーターを呼び込むため、新たな仕掛けを考えていました。新メニューの考案です。


「味は濃い目でこちらの方はタコが好き。タコの天ぷらを乗せたおろしきしめん。」(伊佐治さん)


イタリア人が好む味の濃さ、ボリュームはクリアなるのか。現地の味覚を持つ店長と、いざ実食!


「これ甘い?わからない」(イタリア人店長のジュリオさん)

「・・・なるほど」(伊佐治さん)


こだわりのだしを使ったつゆは、味が薄いようです。


「うちは和食店だからそれをイタリア人に伝えたいけど、でもどうしてもちょっとは合わせないと」(ジュリオさん)


本物の和食の味で勝負に挑んだ伊佐治さんは、現地の人が好む味との差に、大きなジレンマを感じていました。


「ほかの国が開けるお店というのは(ミラノで)和食文化を作ってきたというバックグラウンドがある。我々のような日本食店にどういう違いをはじめから見つけてきて頂けるかは簡単そうに見えて難しいテーマ」(伊佐治さん)


本物の和食も、ミラノの「和食ブーム」の前では挑戦者。試行錯誤は続きます。


 この日、新メニューのオーダーが入りました。新メニューに使ったのは和牛!ミラノ万博で人気だった和牛を味の濃いカレーうどんに乗せたのです。お客さんの反応は・・・


「うどんはパスタより味がしみこんでいるわね。おはしは難しいけど」(女性客)

「本当においしかったです。大阪の万博にももちろん、行きたいです絶対!」(男性客)


「万博をきっかけに我々のような日本企業が出てきて、受け入れられるようになっている。(大阪万博では)扉を開いていろんな方の文化を受け入れて、日本自体、違う変化をしていけるきっかけになればいいな」(Sagami Itaria s.r.i 取締役・伊佐治誠さん)


万博開催から4年経っても、今なおミラノで続く日本食ブーム。大阪万博の成功の鍵は「食」にあるのかも知れません。 

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特集

2019年1月22日

【ABC特集】“炎の合宿”で最後の追い込み 正月休み返上 奮闘する受験戦士たちに密着

特集

正月気分ゼロで2泊3日の受験合宿

 年も明け、まもなく受験シーズンです。お正月休み返上で 行われた 「ある合宿」に密着しました。  

 年末の12月28日、朝。気温は1度。滋賀県大津市のホテルに到着した大型バス。中から、子どもたちが続々と降りてきました。


 「おはようございます」


 集まったのは、なんと600人以上。年の瀬に、いったい何が始まるのでしょうか。


 「しっかりと成長するように、自分が解ける問題が増えるように!最大限の集中力で!」(ケーイーシー能勢浩之先生)


 「2泊3日、全力で頑張るぞ!!」(男性講師)


 「おー!」(子どもたち)


 ここで行われるのは、奈良と大阪で学習塾を展開する「ケ―イーシー」の勉強合宿。年明けに受験を控えた小学6年生と中学3年生が、2泊3日、勉強漬けの生活を送ります。


猛勉強合宿は本番を“完全再現”

 「自分にとって意味のある合宿にしたいです」(小学6年生の女の子)


 「今回が最後のテストだと思って本気で頑張ります」(小学6年生の男の子)


 彼が言った“最後のテスト”とはいったい何なのでしょうか?


 塾の先生が、受験生を会場に送り出す、この独特の雰囲気。それは、この合宿のメインイベント!入試本番を再現した「リアル入試」です。


 「始め!」


 シャーペンや鉛筆の音だけが響く、緊張感に満ちた会場・・・。模擬試験を冒頭に行い、自分の苦手分野を把握した上で、講義に臨みます。


 子どもたちが、正月休みを返上してまで中学受験に備えるワケ。背景には大学入試の変化があるといいます。「センター試験」に代わり、2年後から導入される「大学入学共通テスト」。数学と国語の一部で記述式が導入され、英語では新たに「話す」能力と「書く」能力が問われます。


 「より早いタイミングからちゃんと学べる環境を整えようと、中学受験の勉強そのものが大学入試につながるような学校が人気が出てきたりとか」(ケーイーシー能勢浩之先生)



奮闘!激闘!まさに“炎の合宿”

 合宿2日目。5時20分。早朝にも関わらず、自習室には既に子どもたちの姿が・・・さらに、唯一の休憩時間とも言える、食事中にも・・・。

 「こちらの生徒は、朝ご飯を食べながら勉強しています」(記者)

 1分1秒も無駄にしたくないという思いがにじみ出ます。それでもまだ小学生・・・。

 「疲れた?」(記者)

 「疲れた」、「眠い」(小学6年生の男の子たち)

 入試本番は20日後。気持ちを切り替えて授業に臨みます。

最後にサプライズ

 2泊3日の勉強合宿も残すところもあと1日。ここで、先生から子どもたちにメッセージが・・・


 「どれだけ今まで頑張ってきて、入試当日に『やりきった』、『もう悔いはない』、本当に晴れやかな顔で受験会場に入ってくれることが一番の喜びやねん」(男性講師)


 「みんなが受験というゴールは一緒やから(涙ぐみながら)」(女性講師)


 初めて見せた先生の涙に、子どもたちも・・・



 そして、最後に思いがけないサプライズが用意されていました。1人1人に渡されたのは、お父さんやお母さんからの直筆の手紙です。


 「文章の中に『神様は試練しか与えてくれない』って(母からの手紙に)書いてあってすごくいい言葉だと思いました。お母さんが自分が思っていないくらい頑張ってくれてるというのを知って、自分の今までの行動を改めたいと思いました」(小学6年生の男の子)


 孤独で過酷な受験勉強ですが、支えてくれる家族や先生、そして仲間の存在に勇気づけられた様子の子どもたち。

 

 「今まで競い合ってきて励まし合ってきた仲間だから、全員一緒に気持ちよく合格したいなって思います」(小学6年生の女の子)


 「将来の夢は何ですか?」


 「人の命を担うパイロットになりたいです!」(小学6年生の男の子)


 「志望校合格」と、その先の夢に向かって、受験生たちの奮闘は続きます。


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特集

2019年1月21日

往復6300円から!LCC就航で気軽に行ける「アジアの楽園」ベトナムへの旅

特集

関空にLCC就航 ぐっと近づいたベトナム

 2018年12月、ベトナムLCC最大手のベトジェットエアが関西空港とベトナム・ホーチミンを結ぶ直行便を就航しました。往復のチケット代は、なんと6300円※から!(※諸税・サーチャージを除く・特定チケットクラス/時間に限る)関西にぐっと近づいたベトナムの魅力をどど~んとご紹介します!

「関空からおよそ6時間、ベトナム・ホーチミンのタンソンニャット国際空港に着きました。こちらの気温は32度。寒い大阪と比べるとかなり蒸し暑いです。」(ABCテレビ・高部夏美記者)


人口およそ870万人、ベトナム最大の都市・ホーチミン。4月頃までは雨が少ない乾季にあたり、中でも比較的涼しい1月2月はベストシーズンです。ベトナムと言えば、道路埋め尽くすたくさんのバイク!大きな荷物を載せたり、4人乗りをしている強者もいたり。見ているこっちが、事故が起こらないか心配になるほどです。

 まず向かったのは、街の中心部にある市民の台所「ベンタイン市場」。食料品をはじめ、日用品、お土産品などが並ぶホーチミン最大の市場です。色鮮やかな食材が並ぶ中で、記者が気になる一品を見つけました。

「これなんですか?」(高部記者)

「マム」(店主の女性)


「マム」とは魚介類に塩を混ぜ発酵させたベトナム版塩辛。なかなかの見た目ですが、お味は…?

「おいしい!殻が柔らかくってすごくスパイシーです。」(高部記者)


 市場を出ると、道端のテーブルで何かを食べている夫婦を発見!聞くと、これは「ブンボーフエ」という、米粉の麺と牛肉を使ったヌードル。トッピングに空心菜やバナナの花、もやし、ハーブなどをのせます。ベトナム定番の“朝食”だそうで、麺の鉢にたっぷりの野菜が載って、一杯およそ120円!


「しっかり混ぜて、野菜をしんなりさせるのよ」(「ブンボーフエ」を食べる女性)

「ん~~おいしい!すごく薬味になってる薬草ですかね。その味が効いてておいしい!」(高部記者)

ベトナム戦争の歴史が色濃く残るスポット

 次にやってきたのは、ホーチミンから北西70キロのところにあるクチ。観光客の間で、ひそかに人気を集めているというスポットがあるそうです。ここクチは、ベトナム戦争で激しいゲリラ戦が繰り広げられた場所。アメリカ兵を苦しめた「罠」が展示されているほか、ベトナム兵たちが身を隠して、戦いの拠点にしていた地下トンネルが残されています。南ベトナムの解放民族戦線の兵士たちが、その小柄な体を活かして、戦いや生活の拠点にしていました。20年以上かけて作られたトンネルの全長は250キロにも及ぶといいます。その中を記者が潜入してみると…

「狭い暑い、もう汗だくです。地下の中で当時の方は生活をされてたってことなんですけど、すごいなぁ」(高部記者)


体力を奪う暑さに、ジャングルに潜む見えざる敵。まさに神出鬼没の武装ゲリラに、大国・アメリカもついにかなわず、ベトナムからの撤退を決めたのです。

活気あふれる首都・ハノイ

 ホーチミンをあとにして向かったのは、首都ハノイ。

「きょうはサッカーの国際試合が行われているということで街中がどんちゃん騒ぎになっています。もう午後11時近いですけど、ものすごい盛り上がりです。」(高部記者)


赤い国旗を振りながら暴走する、バイク!バイク!バイク!地元のチームが試合に勝ったこともあり、街中深夜まで大騒ぎ。恐るべし!ベトナムのサッカー人気。


次の日。騒ぎから一転、普段の賑わいを取り戻した街を散策していると、宴会をしている人たちから声をかけられました。

「かわいいね。どこに住んでいるの?」(グループの男性)


テーブルに近づいてみると、そのままお酒をすすめられ・・・

「かんぱーい!ベトナムに来た外国人を心から愛し歓迎しますよ!」(グループの女性)

「ベトナムは無敵だ!」(グループの男性)

「うわ~、このお酒は強い。お~~!」(高部記者)


ベトナムの人たちの温かいおもてなしに、高部記者も感動したようです。


 ほろ酔い気分のまま、ベトナム名物の自転車タクシー「シクロ」に乗って、運転手さんにおすすめされた伝説のスポットへ向かいました。そこは、旧市街地の中心に位置する「ホアンキエム湖」。橋を渡った先にあるお寺の中にいたのは…体長2mにもおよぶ巨大な亀!実はこの亀にはこんな伝説が…


 “むかしむかし、中国の明との戦いに苦しんでいたベトナム。ある日、釣り人が川で釣り上げた剣を王に献上し、それを持って戦いに挑むと戦況は一転、大勝利!その後、王が湖を遊覧していると亀が現れ一言。「平和な世の中になったので、剣を返してください」亀は剣をくわえて、湖に消えていきました。”


ホアンキエム湖とは、「剣を返した湖」という意味なんだそうです。

世界自然遺産を巡る豪華クルーズの旅

 ベトナムの旅のしめくくりは、ハノイから車で2時間、ハロン湾での豪華クルーズ。船内はまるでホテルのよう!日帰りでも、宿泊でも楽しめます。


「わ~すごい、この風景はすごい。美しいな~」(高部記者)


海面から突き出す、大小2000もの島々。「海の桂林」ともいわれ、まるで水墨画のように美しい姿を見せてくれます。


「世界自然遺産に登録されているスンソット洞窟にやってきました。どんなものがあるか探検しにいきたいと思います」(高部記者)


「スンソット」とはベトナム語で「驚き」という意味だそうです。少しひんやりした洞窟の中はまるで地下宮殿のような、幻想的な世界…まさに「驚き」の光景が広がります。


 また、クルーズ船だけではなく、カヤックに乗って、ハロン湾を探索することもできます。鳥たちの美しいさえずりが響き渡る渓谷には、サルなど野生動物たちの姿も間近で見られました。


そして陽が沈むころ、静かな水面が鮮やかなオレンジに染まる絶景が広がります。みなさんもぜひ、ぐっと近づいたベトナムを旅してみてはいかがでしょうか?


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特集

2019年1月12日

【調べちゃウォーカー】その“むくみ”放っておいたら大変なことになりますよ

特集

 寒さが増すこれからの季節、体の冷えと並んで悩まされるのが“むくみ”。


 「ただのむくみだと思って放っておいたら、危ない病気だったということがよくあるんですね。そこがむくみの

怖いところで、いろいろな臓器が悪くなることによってむくみが発生します」(福島吉野スマイル  内科・循環器

内科 坂口海雲 院長)


 水分の過剰摂取や長時間のデスクワーク…様々な原因で起こるむくみ。しかし!ただのむくみだと思っていた

ら、実はそれ、体に潜む病気のサインかもしれません!!


 むくみについて解説いただくのは、むくみ外来を行う「福島吉野スマイル内科」の坂口院長です。


“むくみ”の正体とは!?

 「私も長時間立っていた時、足がむくんでいるなぁと感じるんですけど、そもそも“むくみ”というのは一体、何が原因なんですか?」(塚本麻里衣アナウンサー)


 「血液というのは本来、血管の中に存在するものなんですが、血液の中には水分も含まれているわけです。水分は血管を自由に内に外に出入りできます。一方、足は下の方にあるので、血が重力の関係で下の方にたまってくるわけで、たまることによって圧力がかかり、水分が血管の外に逃げてむくみが発生するわけです」(坂口院長)


 「立っている時間が長くなるほど、足の方に水がたまりやすくなるということですか。あと、お水をたくさん飲んだときにむくむと感じるのも、水分が関係しているんですか?」(塚本アナ)


 「取り入れた水は血液の中に一旦、入りますので、一瞬、血液量が増えるわけです。ですからむちゃくちゃ飲んだらむくむかもしれませんね。でも普通はむくまないようにおしっこに即座に変わっていきますけどね」(坂口院長)


 「ちなみに、お酒を飲みすぎた次の日に、顔がむくむのは何なんですか?」(塚本アナ)


 「お酒をたくさん飲むということは、水分もたくさんとっているはずなんですね。寝ている間は尿を排せつしないように、体内に水分がたまりむくんでしまうんですね。それが顔が一番目立つだけで、実は全身むくんでいるはずです」(坂口院長)


 そう、むくみの正体は血液からもれた水分。体に余計な水分がたまることでむくみが発生します。.長時間の立ち仕事などで、足がむくんだ場合は、寝る時に体を横にすることで、足元にたまっていた水分が全身に分散されるため、一晩寝たら解消されることが多いと言えます。しかし怖いのが、慢性的におこるむくみやひどくなるむくみ。それは何らかの病気のサインかもしれない、と坂口院長はおっしゃいます。




“むくみ”に潜む危ない病気

 「ただのむくみだと思って放っておいたら危ない病気だったということがよくあるんですね。そこがむくみの怖いところ。いろいろな臓器が悪くなることでむくみが発生。たとえば心臓・腎臓・肝臓が悪くなり全身がむくみます」(坂口院長)


 慢性的に続くむくみは、心臓や肝臓、腎臓などの異常かもしれないのです。例えば、むくみの原因が、血液がうまく送れなくなる心臓の病気の恐れや、水分の排せつがうまくできなくなる腎臓の病気である恐れが考えられます。さらに「栄養失調」の場合、血管内で水分を保つための力が低下し、全身がむくむといいます。


 「かなり主要な臓器に何か起きるとむくみというサイレンが鳴るということですね。むくみ方の特徴ってあるんですか?」(塚本アナ)


 「心臓、腎臓、肝臓など内臓が原因で体がむくむときは、体全部がむくんでいます」(坂口院長)


“むくみ”でおかしいなと思ったら…

 もし深刻な病気であれば、一刻も早く治療することが大切ですが、体のむくみだけでは一体どこが悪いのか、自分ではわかりにくいもの。坂口先生のクリニックでは、数分で終わる簡単な検査で、その原因を調べることができます。からだ全体がむくみ、心臓や腎臓など内臓の病気が疑われる場合は10分程度で結果がわかる血液検査。そして下半身だけがむくむという方には、エコー検査で血管に異常がないかを調べていきます。私も、日々足のむくみに悩まされているので、念のため、どちらの検査も受けさせていただきました。



 「では、採血の結果がでました。内臓は特に悪いところはございません」(坂口院長)


 「肝臓の数値は大丈夫でした?」(塚本アナ)


 「大丈夫でしたよ。基準値の範囲より下なので、非常に良いと思います」(坂口院長)


 血液検査では、心臓・腎臓の異常なし。しかも驚くことに、肝臓の数値も平均より良い!!と言われました!!エコー検査でも血管の異常は見られず。まずは一安心。私は大丈夫でしたが実は、足のむくみで一番怖いのが、エコー検査で血液の塊が発見された時なんです。


“むくみ”の原因はエコノミークラス症候群かも…

 「一番怖いのは深部静脈血栓症という病気ですね。エコノミークラス症候群って聞いたことありますか?」(坂口院長)


 「あります、あります」(塚本アナ)


 皆さんも一度は耳にしたことがありますよね。「エコノミークラス症候群」。これが原因で足がむくんでいた場合は、放っておくと命に関わることになるかもしれません。


 「エコノミークラス症候群って名前がついてるだけあって、飛行機に関連してますか?」(塚本アナ)


 「そうですね。長時間座っているということも、人間にとっては不自然なわけなんですよ。血というのは流れていると固まらないけど、流れるのを止めると固まるという性質があるんです。どんな病気かというと、足の静脈の中に血栓(血の塊)ができて、血液がせき止められるわけです。心臓から血が流れていくけど、血栓によってせき止められて戻ってこない状態です。するとどんなことが起こるかというと、むくみが発生するわけです。むくむだけだったら問題ないんですけど、静脈に詰まっているんです。静脈の血は全て肺に行くようになっています。したがって、肺がドバっと詰まると酸素交換ができなくなるので、下手すると死んでしまいます」(坂口院長)


 「たまに聞くじゃないですか。エコノミー症候群で最悪の場合って。やはり長時間座っていると、血液にとっては固まりやすい状態にあるということなんですね」(塚本アナ)


 「人間は動物なので動くものとして設計されています。したがって動かないと不具合が出てきます」(坂口院長)


すぐできるスッキリ“むくみ”解消法

 「何か対策はありますか?」(塚本アナ)


 「ずっと同じ姿勢で筋肉を動かさずに立っているから悪いわけです。なので、筋肉を動かせばよいわけです」


 血流や代謝が悪くなり発生するむくみは、 日ごろから筋肉を動かすよう心がけることが大切。運動療法もすぐにできる簡単なものばかりです。

 


 「イスに座っている状態で足首の曲げ伸ばしする。これでふくらはぎの筋肉をかなり使っているので、左右片足ずつ10回やるだけでもかなり違います。立っている状態でしかできないのであれば、つま先立ちを10回やるだけでも効き目があります。こまめにやることが大事です。」(坂口院長)


 また、寝る前に足首からふくらはぎにかけてゆっくりとマッサージしてあげることも効果的だそうです。それでもむくみが気になる方は、寝るときに使用する弾性(着圧式)の靴下などをはくと良いとのこと。足の筋肉を締め付けることで血液が心臓に戻りやすくなるそうです。





 「むくみは、何かしら体にまずいことが起きているというサインなんですね」(塚本アナ)


 「SOSです。たかがむくみなんですけど、されどむくみなんです」(坂口院長)


 「侮ってはいけないですね」(塚本アナ)


 むくみが続くな、と感じたらすぐに医療機関へ。特に男性はむくみに気付かな

い方が多いそうです。急激に太ったな、という方もひょっとしたらむくみの可能性を疑ってください。

 


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特集

2019年1月1日

手を触れずにロックを解除 スマートキーの車が盗難被害 新たな手口「リレーアタック」にご注意

特集

わずか10秒でロック解除

 年間1万件を超える被害が確認されている、自動車の盗難事件。技術の進歩の裏をつく新たな手口が出現しています。どうすれば、愛車を守れるのでしょうか。

 東大阪市に住む37歳の男性は今年9月、鍵をかけて自宅の前に停めていた車を、盗まれそうになりました。


「土曜日の朝4時くらいに、ピンポン鳴って、何事かと思ったら、友達が、車とられそうになってたでって。僕が聞いて降りてきたときには、犯人は逃げてたんですけど、そこで鍵も開いてると。ただただ、びっくりですよね。何で開いたんや、何で開けられたんやって」(被害男性)


再び被害に遭うことを恐れた男性は、自宅の防犯カメラで24時間、車が盗まれないよう、監視することにしました。

1週間後、玄関付近に現れた不審な人影。リュックのようなものを抱きかかえ、両手を広げています。すると、車のロックが解除されました。わずか10秒でドアを開けたその手口とは。


 

鍵がないのにエンジンスタート「リレーアタック」とは

 現在生産されている車の多くは、鍵が出す微弱な電波に反応し、ドアに触れただけでロックを解除する、スマートキーシステムを採用しています。


犯行グループはこのシステムを悪用します。一人が特殊な装置で車から離れた場所にある鍵の電波を中継。車の近くにいる窃盗役がドアのロックを解除し、エンジンをかけます。電波を中継する手口から「リレーアタック」と呼ばれています。

被害に遭った男性は当時、車の鍵を家の中に置いていましたが、屋外から電波を拾い、中継されたとみられています。


「同じ電波を出していれば、何でも開くんやろうなと思って。だったらもう、やりようがないなというのがありますよね」(被害男性)


幸い、通行人がいたため、男性の車は盗まれずにすみました。大阪府警は、犯行グループがリレーアタックで車のロックを解除したとみて捜査。関西でこの手口とみられる盗難の被害が確認されるのは初めてです。その後、隣の大阪市内でもリレーアタックの疑いがある被害が1件確認されていて、府警は、同一犯の可能性が高いとみて調べています。


すでにヨーロッパではリレーアタックの被害が広がっていて、動画などで注意が呼びかけられています。オーナーを尾行している犯人が特殊な装置で鍵の電波を中継し、離れた仲間がロックを解除。エンジンをかけて走り去る犯人の手口が忠実に描かれています。去年、オランダのアムステルダムで開かれたセキュリティの専門家らの会議では、緊急課題として取り上げられました。

盗難被害の背景に 海外で高まる日本車人気

 国内の自動車盗難の認知件数は、2003年をピークに減少。それでも去年1年間で1万213件の被害がありました。専門家は、その背景に、盗難車を海外へ転売する犯罪集団の存在を挙げます。


「海外の需要が高いような車があって、それを狙うならば、当然日本に入ってくる。一番今、自動車盗で狙われているのは、プリウスだったり、中東ならランドクルーザーやハイエース」(摂南大学 中沼丈晃准教授)


国内で盗難被害に遭った車種をまとめたランキング(日本損害保険協会調べ)を見ると、1位から10位まで、日本メーカーの車種が並びます。日本車は性能が高く、トヨタの車種を中心に海外で人気を集めているということです。


 リレーアタックに限らず、車の盗難被害は後を絶ちません。大阪府警は先月までに、国産の高級車を中心に270台以上を盗み、パキスタンやナイジェリア、シンガポールなどに輸出していたとみられる男ら12人を摘発しました。手口の巧妙化が進むなか、警察庁は、今後、被害の拡大が予想されるリレーアタックについて自動車メーカーに技術面での対策を検討するよう要請しています。

今すぐできる対応策は

 電波を増幅させて車を盗むリレーアタック。どのような対策ができるのでしょうか。

「電波を車に行かせない状態にすれば、動かない。スマートキーからの電波を遮断することによって、この電波を盗まれることは、まずありません」(自動車販売店「エムズスピード大阪」大石唯勝さん)


リレーアタックの対策として最も重要で、そして簡単なのは、スマートキーの電波が出ないようにすることです。カー用品店などでは、電波を遮断するポーチが販売されています。


「実際には、ここに入れることによって、まったく電波が遮断されている状態になって開きません」(大石さん)

もっと身の回りにあるもので、電波を遮断することができないか、測定器で検証してみました。まずは、お菓子などが入っている金属製の缶。


「実際に周波数も出ていませんし、操作もできませんので、電波は遮断されていることが確認されます」(大石さん)


アルミホイルで包むという方法でも。


「動かないですね。これもかなり有効手段」(大石さん)


このように、ちょっとした工夫でリレーアタックの被害に遭うリスクを大きく減らすことができます。


「ポケットに入れていたりしても、操作せずに動かすというのがスマートなキーとして開発されたと思うんですけど、ちょっと不便になったとしても、電波を出さない対策をとるというのがリレーアタック対策かなと思います」(大石さん)


 車を盗まれそうになった男性は、まさか自分の車が狙われることはないと思っていたといいます。


「レクサスの盗難は聞いたことがありますね、近所では。ただ、これは大丈夫やって。この形のやつは最新だし、大丈夫やって。開けられたっていうのはきいたことがないと、きいていたので、安心はしていたんですけども。そんなに簡単に盗れてしまうのかと思ったのが正直なところ」(被害男性)


瞬く間に車を盗み去るリレーアタック。あなたの車も狙われているかもしれません。


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