キャスト -CAST-

番組で紹介した情報

特集

2020年1月10日

【ウエダのギモン】プールの水が簡単に飲める? 誰でも汚水を飲み水に変えられる魔法の浄水器登場! 災害時の救世主となるか

特集

 ものすごい浄水器のお話しです。災害時になくてはならないのがお水です。飲み水がないと、料理やトイレに使うお水がないと、と誰しも備蓄することを考えるのではないでしょうか。それを簡単に実現できてしまう浄水器があるんです。その実力を試してきました。

誰でも汚れた水が飲める?

「ウワサの浄水器の実力が知るために待ち合わせをしたのがこの小学校なんですが、いったいどういう関係があるんでしょうか。あれっ、校庭を自転車でやってくる人がいますよ。ほらっ、まっすぐこっちに来ました」(上田剛彦アナウンサー)


 自転車で登場したのは、浄水器の会社「ベーシック」の佐々木智(さとし)社長です。


「こんにちは、ABCテレビの上田です。えっと、今日、浄水器の待ち合わせ・・・ですよね?」(上田アナ)

「そうです」(ベーシック 佐々木智 社長)

「自転車でいらっしゃったってことですよね。あら~浄水器は特に積んでいない・・・ですよね?」(上田アナ)

「実は浄水器はこちらです」(佐々木さん)

「おっ、これ!?浄水器を自転車で持って来たということなんですか?」(上田アナ)

「実はこの自転車も含めたものが浄水器なんです」(佐々木さん)

「え!?」(上田アナ)


 ごく普通の自転車のように見えますが、これ自体がすごい浄水器。その名も「浄水自転車モバイルオアシス」。でも、なんで自転車なんですか?

「この装置は元々、緊急災害時に使用できるように、移動して飲み水をつくる浄水装置になります。小学校、中学校というのは、緊急災害時に避難所に設定されています。常に学校のプールというのは防火用に水が貯められています。それをなんとか飲み水にできないかというのが、私たちのプロジェクトです」(佐々木さん)

災害時にプールの水が飲める!電気いらずの浄水自転車

 9月に入ってから使われず、水を貯めたまま放置されたプール。これを飲み水に変えるなんて本当にできるんでしょうか。今回、兵庫県にある伊丹小学校にご協力いただきました。


「これはさすがに(無理でしょう)・・・だって、藻が生えてますもんね。うやぁ~。あっ、(すくってみたら)結構きれいだった」(上田アナ)


 一見、きれいそうですが、よく見てみると濁っているのがわかります。それだけじゃないんです。


「あ、あっ、動いてる!動いてる!なんかミジンコの仲間かな?プランクトンがいる」(上田アナ)


 見えますか?このピクピク動く生物。こんなのがうようよいるんです。


「(ビーカーを鼻に近づけ)クサイ!植木鉢にたまった水の臭いがする。これを飲んだら大変なことになってしまうと思います。これはもう今日はやめましょう、ってことにならないですか?」(上田アナ)

「いえ、十分大丈夫です」(佐々木さん)

「十分ですか?望むところ?」(上田アナ)

「はい、大丈夫です」(佐々木さん)

 どうやって水を飲めるようにするのかというと、ホースを使って水を吸い上げ、いくつものフィルターを通して飲み水にする。それにしても電源はいらないんでしょうか?


「それでは、漕いでみてください」(佐々木さん)

「漕ぐ?なるほど人力なんですね。だから、この自転車が必要だったと!」(上田アナ)

「そういうことです」(佐々木さん


「(ペダルを漕ぎながら)こういう感じ?あ~、もう普通に乗ってる感じ・・・(ガラス容器に水が溜まっていく)うぉ~っ、すごい出る!すごい出てる!!」(上田アナ)

「そうですね、だいたい浄水できる量は、毎分4リットル~5リットル浄水することができます。」(佐々木さん)


 用意したビーカーは10リットルなので、2分でいっぱいになる計算です。

「すごい軽い!」(上田アナ)

「そうですね、避難地では、色んな方がいらっしゃるので」(佐々木さん)

「これ、誰でもできると思いますね」(上田アナ)

「そうですね」(佐々木さん)


 本当に軽かったです。道路を走るよりも断然、軽い力で漕げました。


「(漕ぎ終わって)すごい、なんの疲れもない。むしろ、ちょっと運動して気持ちいいぐらい」(上田アナ)

「これ、今、僕がつくった水ですか?」(上田アナ)

「そうです。今、つくっていただいた水です」(佐々木さん)

「じゃあ、すくってみよう。あら~透明だわ」(上田アナ)


 比べてみると、一目瞭然。左が浄水前の濁った水で、右が浄水後の飲める水、透明度が全然ちがいますよね。ただ、透明になったとはいえ、プールの水に変わりはない。少し抵抗はありますが、飲んでみることに。

「臭いは全然ないですね。さっきは藻みたいな臭いがしていましたけど」(上田アナ)

「(一口含んで)飲めるな。飲めますね。ふつうの水です。臭くない」(上田アナ)

「そうですね」(佐々木さん)

「あれっ、臭いもなくなるんですね」(上田アナ)

「活性炭が入っているので、臭いもきっちりと吸着します。基本的には自然の汚れであるならば、対応可能です」(佐々木さん)

「自然にたまった水、自然に流れる水、でも、飲めない水を飲めるようにできるってことですよね」(上田アナ)


 なんでこんなにスゴイことができるのかというと、秘密は3つのフィルター。まず汚れた水は、吸い上げる際に1つめのフィルターを通ります。ここでおおまかなごみが取り除かれます。次に自転車の荷台にある2つめのフィルターで目に見えない細かいゴミや臭いを除去。この時点で手洗いなど生活用水に使えるそうです。そして最後に3つめのフィルターで、大腸菌をはじめとした細菌を除去します。こうして飲料水ができあがるのです。

「今これ、10リットル出しましたけど、これだけでどれくらい飲める水をつくれるんですか?」(上田アナ)

「実は、そのフィルターの寿命にかかわってくるんですが、水質によって非常に変わります。ただ、私どもの実験で、学校のプールでいきますと、大体3000リットルから5000リットルがフィルターの寿命になります」(佐々木さん)


 人が一日に必要な水分量は2リットルとされています。それが今回の浄水器によって、およそ3000リットルも確保できるんですから、避難所だったらかなりの人を助けられますよね。


 せっかくですので、僕以外の人にも、学校のプールの水を飲んでいただきました。


「校長先生!プールの水なんですけど、今、浄水したんですよ。飲みます?」

「大丈夫ですか?」(伊丹小学校 森田邦彦 校長)

「一応、ぼくらも飲みました」(上田アナ)

「じゃあちょっと飲んでみたいと思います。(一口味わう)」(森田校長)

「どうですか?」(上田アナ)

「普通の水と変わらないですね」(森田校長)

「飲めますよね。さっきはプランクトンがいっぱいいたプールの水ですが」(上田アナ)

「不思議ですね」(森田校長)


 続いて通りかかった教頭先生にも。


「でもきれいですよね。いただきます・・・(飲んでみて)あっ、普通の水です。おいしい!飲めます飲めます」(八尾千枝 教頭)

「臭いとかどうですか?」(上田アナ)

「大丈夫です。びっくりした(笑)」(八尾教頭)

「ちょっと嫌な予感したみたいな感じありました?」(上田アナ)

「絶対そんな無理って思ってたんです。すみません。たぶん何も言われず飲んだら、ふつうにおいしい水だって思うと思います」(八尾教頭)

詳細を見る

詳細を閉じる

特集

2020年1月8日

【ABC特集】駅前にポツンと町工場…全国シェア50%なのに存亡の危機!? “住みやすい街” 尼崎 人気急上昇の余波で固定資産税が3倍へ

特集

 こちらをご覧ください。都市開発が進む尼崎の上空の写真なんですけど、この赤い丸の中にご注目です。ポツーンとマンションが建ち並ぶ中にあるのはなんと、町工場。しかも従業員はたった一人。今、お金をめぐって存亡の危機に立たされていると言うんです。

「この辺りは大きなマンションが建ち並んでいるエリアでして、さらに線路を挟んだ向こう側にもマンションが建っています。いわゆる住宅地なんですけれども、あぁ、あちらですね。その住宅地に囲まれるようにして一軒ポツンと工場が建っています」(古川昌希アナウンサー)


 住宅が建ち並ぶ、兵庫県・尼崎市の線路沿いに、ポツンと建つ町工場。場所はJR塚口駅の北。JR福知山線と阪急神戸線が交わる線路沿いに町工場がポツンと建っています。

「すいません、こんにちは~」

「この土地で工場を何年くらいやっておられるんですか?」(古川アナ)

「50年やってます。こういうワックスを紡績(業者)に売っています」(シンコー油脂 社長 大谷雅史さん 61歳)

「これが繊維業に必要なんですか?」(古川アナ)

「みなさんが着ているスーツでも何でも、糸から布にしないといけない。その時に織機で織りますけど、今の織機は高速なのでワックス処理しないと糸切れがおこります」(大谷社長)


 大谷さんがこの工場で作っているのは、布を織る際に必要な、糸の滑りをよくする繊維用ワックス…。実は、ものすごい物でした。


「どれくらい日本で作っているものなんですか?」(古川アナ)

「2社ぐらいしかないです」(大谷社長)

「日本全国で?」(古川アナ)

「そうです。だからウチは50%ぐらいのシェアをとっているということです」(大谷社長)

 かつては10人ほどの従業員がいましたが、今は大谷さん1人。それでも全国シェアの半分を占める工場が、住宅街にポツンとある理由-。そこには、激変した町の環境がありました。

「JR塚口駅前はご覧のようにきれいなマンションがたくさん建ち並んでいるんですけど、元々この場所、以前は、森永製菓の工場が建っていたということです」(古川アナ)
 1921年、大正10年に建設、森永製菓・塚口工場。これはABCテレビに保管されている、1958年、昭和33年の塚口工場の映像です。ここでは森永の主力商品の一つだったキャラメルも作られていました。


 工場は地元の誇りでした。 


「塚口の人にとって森永製菓は大きな存在でしたか?」

(街の人は)

「みんな駅を降りたら、『甘いにおいがする』と言われた」

「した!した!チョコレートの良いにおいね」

「ミルクキャラメルが1番有名やった」

 さらに周辺では、お菓子作りに不可欠な、あるものも作られていました。


「そこのマンションが建っているところも岡崎牧場ですわ。ここで牛を飼っていたんです」(大谷社長)

「ここって牛がいたんですか?」(古川アナ)

「そうです。それから向こうは精機工業所という東芝のモーターの工場があった」(大谷社長)

「森永の周りってみんな工場でしょ。向こうの方も結構工場があって、小さい工場があって」(街の人)


 もともと“住宅街にポツンと工場”、だったのではなく、かつてこの一帯には大小様々な工場がひしめき合っていました。しかし、バブル崩壊などの影響で、工場の廃業や移転が相次ぎ、6年前には森永製菓の工場も移転。町全体が大きく様変わりしたのです。

 そんな中、突然大谷さんの元に、尼崎市から目を疑うような通知が届いたと言います。


「(尼崎市に)『ここの工場用地が 住宅用地に変更しました』と固定資産税の納付書が届いた段階で税金が跳ね上がっているので、びっくりして尼崎市に問い合わせたという形ですね」(大谷社長)


 大型マンションなどの建設に伴い、尼崎市は付近一帯の土地の区分をそれまでの「大工場地区」から「普通住宅地区」に変更。道路の拡張なども行われたことで、大谷さんの工場用地の評価額は、1年でなんと3倍に上昇しました。そうなれば、固定資産税も…


「どれくらいはね上がりました?」(古川アナ)

「3倍ですね」(大谷社長)

「3倍も!急にですか?」(古川アナ)

「そうです。僕はこの土地に住んでいないし、誰も住んでいない。工場としてしか使っていない」(大谷社長)

 段階的に上がり、数年後には年間50万円を超えるとみられる固定資産税。区分変更について尼崎市は…


「町工場周辺を住宅地区と区分したことは、適正だと考えています。他の都市を見ても、このようなケースで特例措置を設けているのは見たことがありません。特例措置は地域内でそこだけ日当たりが悪いなどの場合で、何でもかんでも設けることはできません」(尼崎市資産課)


 地域に若い人が移り住んでくれるのはありがたいと話す一方で、市は町工場の苦しい現状にも目を向けてほしいという大谷さん。


「僕自身の実入りのことだけ、収入のことだけ考えれば工場を閉鎖して駐車場にすれば、今よりはるかに裕福な生活はできますよ。僕としては移転することも考えていますけどね。社会的貢献は税金を納めるのもそうやけど製品を作り続けるのも社会的責任やと思っているので」(シンコー油脂 大谷社長)


 戦後の経済発展を陰で支えてきた町工場が今、大きな危機に瀕しています。

 先日の新聞に、“住みたい!尼崎にモテ期”という大きな見出しがのりました。住む街として、尼崎が非常に人気でランキング上位に入っているという記事なんですが、一方で、大谷社長のように憂き目に遭われている人もいます。固定資産税の区分として、大谷社長の土地は昨年まで工業地だったわけです。それが何の通知もなしに住宅地に変わっていた。結果、価値が上がって固定資産税が3倍になっていたということなんです。大谷社長が作っている繊維用ワックスというのは、ピーク時には正月返上で働かなければならない状態でしたが、ここ5年で、海外での生産が急に伸びて、1ヵ月で5日も稼働すれば間に合うようになってしまったんです。収入自体は50分の1くらいまで減ったというのに、固定資産税が3倍になったらもう続けていけない。結果、この工場の場所を移すとなれば“行政による地上げ”とも言えるのではないでしょうか。

詳細を見る

詳細を閉じる

特集

2020年1月6日

【ABC特集】もう間違えない! 裏表前後なしの究極のリ バーシブル肌着誕生! 面倒くさがり屋男性のアイディ アが主婦のストレスと介護負担を解消する?

特集

もう間違えない!?裏表なし肌着 主婦の洗濯イライラが解消

「こんなに今まで面倒だなと思っていたことがなくなるのが、ストレスがなくなるというか、これはいい!と思いました」(重松淳子さん)


 生活の中で感じるちょっとした面倒くささを解消しようとひらめいたアイディアが意外な場面で活躍を見せました。


「(手伝ってもらい肌着を着る高齢女性)前も後ろもないんですか?」

「そうなんです。前も後ろもないんです」(西出喜代彦さん)

「すっと着れたね。いつもよりね」(介護士)

「うん」(高齢女性)


 介護現場からも引き合いがくるという小さな「手間」をなくす画期的なシャツが今、注目を集めています。

(ミシンの音が響く)

 昨年5月、小さな縫製工場で試行錯誤が続いていました。作っているのは裏表が決まっていないリバーシブルのシャツ。


「首元の生地、“天竺(てんじく)”にしてよかった。前の生地は本当に苦労したので」(縫製職人の柴田はるみさん)

「天竺の生地は表だけだから裏表とか関係ないし」(西出さん)

「裏もきれい。きっちりと縫えている」(はるみさん)


 開発者は、泉佐野市で食品加工会社を営む西出喜代彦(にしで・きよひこ)社長(40歳)。日常のある困りごとを解決しようと、専門外のアパレル業に進出しました。


「僕自身が(シャツ)の裏表を気にせずに脱いで、母や妻にずっと怒られてきたんです。(下着は)人に見せないから裏返しのまま着たりしていたんですよ。そんなことをしているうちに、ふと、これは裏表なくていいんじゃないかと思って」(西出さん)


 熟練の縫製職人の協力を得て、赤ちゃんの肌着などを縫う特殊なミシンと高度な技術で、縫い目が平らになる方法を採用。およそ1年かけて完成させ、「オネスティーズ」というブランドを立ち上げ、昨年7月に販売を始めました。売れ行きは予想の倍。すでに愛用者もいます。

「(扉を開け)こんにちは」(重松知宏さん)


 大阪市に住む重松知宏(しげまつ・ともひろ)さん(41歳)。重松さんのある行動を見かねた妻の淳子さん(40歳)に勧められ、HONESTIESのシャツを着始めたと言います。


「着心地はいいですね。(身体を)動かしやすいっていうか」(重松さん)

「今まで面倒だと思っていたことがなくなるのはストレスがなくなるというか、これはいい!と思って、主人にも、主人の父にも着てもらっています」(淳子さん)

 さらに、西出さんの使命感に火をつけたのは“裏表だけでなく前後もなくなると便利”だという介護現場からの声でした。前後裏表のないシャツを作ろう!西出さんは再び開発に取りかかりました。


「肩のラインを首元にそろえるのはできますか?」(西出さん)


 西出さん、新しいアイデアを思いついたようです。袖の縫い目について熟練の職人も驚く提案をします。


「あんまり見たことない」(縫製職人の柴田邦彦さん)

「見たことないけど、まあ1回やってみる価値はあるわね。試してみます」(奥さんのはるみさん)

「何でも挑戦ですから」(柴田さん)

「失敗の積み重ねでなんとかいいものを作っていけたら」(西出さん)


 型紙は20以上、100を超えるサンプルをつくり、ようやく形が見えてきたようです。 首元の開きは前も後ろも合わせてみるとぴったり同じ。ところが実際に脱ぎ着してみると・・・


「感覚的に考えたら、後ろ(の見栄え)がかっこ悪いと思ったんですよ。後ろも前のように(首の開きが深く)なるのかなと思ったら、一度、着てみると、ほとんど後ろの線(首元のライン)がまっすぐになりました」(柴田さん)

「(試着してみて)知らなかった。新発見ですね」(西出さん)


 体のカーブに沿うことで、前後の開き具合が変わる意外な発見がありました。


 職人さんからも提案がありました。


「(縫い)目を細かくしています)」(柴田さん)

「細かくなると何がいいんですか?」(西出さん)

「伸び縮みが、(シャツが)伸びきらないんです」(はるみさん)

「これを介護の現場で着ていただいて、感想をいただいてきます」(西出さん)

 介護現場で受け入れられるのか。試作品を手に、緊張した面持ちで西出さんは、泉佐野市内の特別養護老人ホームを訪れました。果たして・・・


「この肌着、着てもらえる?」(介護士の女性)

「うん、この上から着るの?」(入居者の女性)

「そう、この上から。右手からね。どう着心地は?」(職員)

「結構です」(女性)


「(シャツの)前後とかを確認しなくていいので、多少楽になるのかなと思っていたんですけど、その辺はいかがですか」(西出さん)

「前も後ろもないんですか?」(女性)

「前も後ろもないの。どっちから着ても間違いがないから楽ですよって。着るときも袖口とか首のくりが大きいから着やすかったかな?」(介護士)

「うん」


Q:間違えてしまうことは?

「ありますよ。丸首のシャツの方は前後間違えて着てしまったりとかあるんですよ」(介護士)


 どうやら好感触のようです。


「きょう着ていただいて、着る方も周りのケアをする方も楽になるだろうなと確信できたので、しっかりいいものを作りたいなと思いました」(前後裏表ないシャツを開発した西出喜代彦さん)

前後裏表なし肌着 両目を失った少年も試着へ

 さらに、前後裏表のないシャツ,は、西出さんが想定していなかった人たちの元へも届き始めました。


 酒井響希(さかい・ひびき)くん(13歳)。小児がんが原因で、2歳の時に両目の視力を失いました。両親がこのシャツのことを知ったのは、偶然見ていたニュース番組でした。


「視覚障がい者の方にとって、これはすごく便利な衣類じゃないかなと思いまいした」(父・健太郎さん)

「小さいときは前と後ろわかるように、(シャツの)前に全部ボタン付けたりとかしていたんです。今は大きくなってきて自立のために学校の寮に入ったりしているので、裏表逆に着ているんじゃないか、って親の中では不安があったりするんです」(母・康子さん)


 一昨年の春から視覚支援学校で寮生活を始めた息子の役に立てばと、知人を介してシャツを受け取りました。


 家では母親にやってもらっていたことも、寮では自分でやらなくてはいけません。


「一番(大変なの)は洗濯物を洗って干してたたむことです」(酒井響希君)


 洗剤の量を指先の感覚で確認したり、裏返った服を戻したりするときに神経を使います。


Q:よく洗濯機から出してひっくり返っている洋服は

「ダントツこのシャツですね。もう完全に裏返しっていうか。よく、縫い目が出ていたり、あとはタグが外に出ています。干すときにこうやって、ひっくり返して干し直しています」(響希君)


 酒井くん、前後裏表のないシャツはどうですか。


「(新しい肌着を着ながら)なんか前後がないからすっと着られます。向きを気にしなくていいので」(響希君)


 前後裏表を変えてもう一度着てみます。


「着心地は(ほかのシャツと)そんなに変わらない、一緒。干すときはすごい楽になると思います」(響希君)

小さな“手間”解消 前後裏表なし肌着 まもなく完成へ

前後裏表のないシャツを開発した西出さん。着る人のためになる服とは何かを考えつつ、昨年末の完成を目指して、最後まで調整を続けました。


「どんなにアイディアだけあっても、できたものがすべてなので。引き続き作っては直しみたいなことを続けていきたいですね」(西出さん)

詳細を見る

詳細を閉じる

特集

2020年1月5日

【ウエダのギモン】火災調査のプロが警告 火元はあなたのすぐ身の回りに!?

特集

 昨年、起きた沖縄県の首里城の火災は非常にショッキングでした。この原因というのがはっきり特定されてはいないんですが、わからないけれども火災は起こるんです。みなさん、この記事を読んだ後に身の回りを必ずチェックしてみてください。ちょっとゾッとします。


 火災のことなら、やはりその最前線にいる消防局へ。おじゃましたのは東大阪市消防局です。


「(ドアを開けて)失礼します・・・」(上田剛彦アナウンサー)


 こちらには「火災調査隊」というチームがいます。火災現場で、消防士が火を消したあとに、出火原因を調査するのが任務。さらに、今後、同じような火災が繰り返されないように地域住民や飲食店、メーカーなどへの啓発活動も重要な仕事です。


「東大阪市管内ではどれくらい出動してらっしゃるんですか?」(上田アナ)

「火災件数だけで言うと、年間130件前後。3日に1回ぐらいのペースになりますね」(東大阪市消防局 火災調査隊 後藤潤也さん)

「けっこう多いんですね。イメージ的に言うと、これからの季節というのは、より火災に気をつけなきゃいけないのかなと思うんですけども」(上田アナ)

「一般家庭における火災ということであれば、冬にやっぱり多い傾向にあると思います」(後藤さん)

 ある意味、火災を見慣れているプロからしても衝撃だったのが、昨年に起こった首里城の火災。まだ出火原因は特定されていませんが、一部では、電気系統のトラブルか、とも言われています。では、電気のトラブルでの出火とはどれほど怖いものなのでしょうか?


「今から分電盤の中にあるブレーカーに不具合が起こったときに、どういう形で出火するのかを見ていただく実験になります」(後藤さん)

「この分電盤っていうのは、お店とか工場とか家でも必ずありますよね?」(上田アナ)

「必ずあります」(後藤さん)


 家庭の分電盤はふたを開けるタイプが多いですよね。この中にあるブレーカーの仕組みを再現した模型で実験します。出火の原因で多いのはブレーカーに、ホコリがたまった場合です。


「スイッチオン(実験開始)」

「(実況)電気がつきました・・・あああ、火花が上がりましたね。うわっ、うわっ、1mぐらい火花が上がって、すぐに燃え始めました。えーっ、炎が完全に・・・上がりました。どんどん板が焦げていきます。うわ~、あっという間に焦げ臭いニオイが」(上田アナ)

 みなさん、電気設備にホコリがたまると良くないっていうのはよく聞きますよね。でも、ホコリに直接火がつくんじゃないんです。電気は通常2本の線で運ばれてきますが、ブレーカーにホコリがたまると、2本の線の間で細かな電気火花が飛びます。その火花が繰り返されることで、本来電気を通さないプラスチックの部分が炭化、炭になるんです。つまり、あり得ない所に電気の通り道ができて突然、出火するというわけ。

 同じ理屈で、コンセントに差したプラグに ホコリがたまると、


「(実況)あ~っ、すごい火が出た。すぐですね。炎が出ました。全体的に焼け焦げました」(上田アナ)              


 プラグの樹脂が炭化することで出火します。恐ろしいのは、家電のスイッチをオフにしていてもプラグを差しているだけで、火が出る可能性はあるという点です。


「こんなことで火がついちゃうんだったら、いつどこで火災が起こってもおかしくないですよね」(上田アナ)

「そうですね」(後藤さん)


 では、少しでも出火のリスクを減らすには?


「(プラグを)抜いてもらうことが一番ですね。僕自身、出かけるときは冷蔵庫以外のコンセントは全部抜いています」(後藤さん)


 ほかにも、身のまわりには火災の危険がいっぱい。火災調査隊が指摘するいっこうに減らない危ない行動とは?

 まずはこちら。


「サツマイモをレンジで加熱しすぎることによって、サツマイモ自体が燃えてしまって火災に至るという事例が東大阪市内でありました」(後藤さん)


 実際に起こった火災の写真です。


「この家の人はテレビを見ていて、電子レンジに対して背を向けて加熱していました」(後藤さん)


 幸い、ボヤで済んだそうですが、大きな火災になっていてもおかしくありません。では、何分くらい加熱すると火が出るのでしょうか?およそ100グラムのサツマイモを700Wという設定で加熱してみます。


(開始)

 調理前の下処理として、早く火が通るようにレンジで温めるってよくやりますよね。でも長すぎると危ないそうです。変化が表れたのは、5分を過ぎた頃からでした。


「だいぶ乾いているような状態」(後藤さん)

「ですよね。そして何か煙のような気がする、ほら、煙が出ていますよね」(上田アナ)

「煙が出てきました」(後藤さん)

「煙が出てますよね。これカメラに映ってますかね?(指をさして)ほら、ココココ。煙出てる、煙。すごい煙が出てる。いや焦げ臭い焦げ臭い!」(上田アナ)

そして7分すぎ。ついに。


「わっ、今なんか火花が見えましたね。あー燃えた燃えた燃えた、炎が出ました!燃えてますね。うわうわうわっ、イモが燃えてますね」

「うわ~、煙が上がりました。うわ~焦げ臭い。お皿割れてますね。イモは?うわ~っ、真っ黒。炭のかたまりになっていますね。クサイ!」(上田アナ)


イモや、パン、ごはんなど、特に水分の少ない食品の温めすぎにはご注意を。


同じくキッチンでやりがちな危ない行動はコレ。天ぷら油を節約しようとして少なめで揚げたりしていませんか?それが危険。東大阪市内では、昨年秋、油が少なかったために火災が起きました。火災調査隊の実験で、200ccと400ccの天ぷら油の発火するまでの時間を比べると、200ccのほうが5分以上早かったというデータもあります。量が少ないほど、温度が早く上がるので要注意です。

 次は?


「これも昨年起こった事例なんですけども自然発火というのがあります」(後藤さん)

「自然発火?」(上田アナ)

「リフォーム会社の倉庫で発生した火災なんですけでも、使用する木材にアマニ油を含んだ塗料を塗っていて、その塗料を拭き終わって拭き終わったタオルを置いていたらそこから出火したと」(後藤さん)

「え?油を拭いたタオルから勝手に火がつくってことですか?なんでですか?」(上田アナ)


 ポイントは、その油が「アマニ油」という「植物性」の油だったこと。


「植物油は酸化しやすい性質がありまして、酸化すると発熱するんですね」(後藤さん)


 その植物油が付いたタオルを何枚も重ねていると、熱の逃げ場がなく高温になり火がつくことがあるというんです。今まで、そんな火災が目立つケースというのが・・・


「マッサージ店でタオルを使用していて、洗濯して乾燥機にかけて乾燥機の中で出火したりとか」(後藤さん)

「えーっ」(上田アナ)


 発火するのは、乾燥機内の余熱がオイルの酸化熱の温度上昇を手助けしてしまうからです。アロマオイルも、多くは植物性。他に植物油といえば?


「大豆油もそうですし、最近はやっているものであればエゴマ油も酸化しやすいです」(後藤さん)

「今の話を聞いていたら、炎がなくても勝手に火が出るなんてよくあるってことですか?」(上田アナ)

「そうですね」(後藤さん)

 最近流行の家電が火災を起こす可能性もあります。この写真の中に危険なものが潜んでいます。みなさん、何だと思いますか?ヒントは、この電気ストーブに悪さをする何かです。



 正解は・・・ロボット掃除機です。このロボットが電気ストーブをソファのところまで運んでいくんです。コードも引き連れてしまうんです。早ければ5分で発火します。これは実際に、東京都内で2件起きていて、その内の1件は住人が外出中でした。ちょっとだけと思って電気ストーブを止めずに出かけてしまったことが、とんでもない事故を生みました。

詳細を見る

詳細を閉じる

特集

2020年1月4日

【ウエダのギモン】タクシー乗車前に運賃がわかる「事前確定運賃サービス」開始 業界再生の切り札となるか お得ポイントを徹底検証! 

特集

 タクシーの料金って、ふつうは目的地に着くまでわからないものですが、それが乗る前に決まっていたらうれしいですか?事前に運賃が決まる画期的なサービスができました。10月下旬、東京の複数社で始まり、11月、まだほんの一部ですが関西でも導入されました。いったいどんなしくみなんでしょうか?本当にお得になるのかも含めて調べてきました。

タクシー運賃が乗る前に確定 そのサービス得なの?損なの? 

 ところでみなさん、タクシー料金で納得いかなかったことってありますか?


「(降りる)直前で値段が変わったときに、本当にちょっとなのにすごく損した気持ちになっちゃう」(30代女性)

「遠回りされてる感がありました。通常5500円くらいでいくのに8000円もかかっちゃったなって」(50代男性)

「2台で連れの人と乗ったときに、目的地は一緒だったのに先に着いた方と後から来た方で料金が違ったのはどういうことって?」(20代女性)


 そんな不満を一気に解決してくれるかもしれないのが「事前・確定・運賃」。


「事前確定運賃サービスを関西で初めて導入したのがこちら。京都のタクシー会社『キャビック』です」(上田剛彦アナウンサー)


 タクシーはおよそ130台を保有。京都市右京区で半世紀以上続く老舗のタクシー会社です。

 まず「事前確定運賃サービス」とは、どうやって利用するのかを教えてもらいます。


「スマホを使うと聞いたんですけど、どうやってやるんですか?」(上田アナ)

「まず、こちらのJapanTaxiというアプリを立ち上げてください」(キャビック 兼元敬洋 取締役)


 ジャパンタクシーとは、最近増えている「配車アプリ」の一つ。キャビックは、このアプリ会社と契約しています。


最初は、こんな地図の画面が開きます。


「まずは車に来てほしい場所を選びます」(兼元さん)

「はい(乗車地を入力)」(上田アナ)

「『ここで乗る』を選択していただいて、次は目的地ですね」(兼元さん)


ここから最寄りの駅、阪急「西院駅」で降りる、とします(降車地を入力)


「とすると?」(上田アナ)

「車がここに迎えに来て、ここまで送ってくれるという形になります」(兼元さん)

  「あっ、事前確定運賃1080円!出ましたね、まだ乗ってないのに」(上田アナ)


 これが、文字通り、運賃が事前に確定するというサービスです。

 そして、『今すぐ呼ぶ』という表示を押すと・・・


「呼んでます・・・今、『付近のタクシーを検索中』と出ました」(上田アナ)


 配車注文すると、タクシーにある端末に届きます。半径2.5キロ圏内、およそ10分以内で迎えに行ける車が、早い者勝ちで受けます。


「来ました。お迎えのタクシーが決まりました。10:29までにご指定の地点に・・・で『確認』をタップしたらいいんですね?」(上田アナ)

「はい」(兼元さん)


 料金はネット決済なので、この時点で、支払いはもう済んだことになります。


「そして、こちら、車両番号540のキャビックの車がお迎えにあがりますよと」(兼元取締役)


 こんなことまで分かるんです!


「その車というのはどれですか?」(上田アナ)

「たぶんこれですね、けっこう北の方にありますね」(兼元さん)

「あっ、ありましたありました!太秦映画村の近くにいるタクシーが、今たぶん、向きを変えてこっちに来てくれようとしています」(上田アナ)


 あとは、到着を待ちます。


「えーっと、車両番号が540。なんかドキドキするな。ホントに来るのかな」

「(スマホの画面見ながら)もう来る?アレかな?今1台、あれ、キャビックさんですよね?」(上田アナ)

「はい、そうですね。きっとあれですね」(兼元さん)

「あっ、右に曲がるっていうウインカーが出ましたね。(車が近づいてくる)来ました来ました。でもこれが本当に540なんでしょうか?」(上田アナ)

「車の後ろのところに」(兼元さん)

「あっ、540だ。540! 540!これですね、このタクシー!なるほど。本当に来ました」(上田アナ)


 ちょっと感動すら覚えた、配車の体験でした。あとは安心して乗るだけ、ってことです。ちなみに、キャビックの場合、アプリでの配車は迎車料金がかかりません。もし高速道路に乗った場合は別途必要です。

 ただ、ですよ。この「事前確定運賃」がそもそも妥当な金額なのかどうかは気になりますよね。そのへん聞いてみました。


「事前確定運賃ってどうやって算出されるんですか?」(上田アナ)

「距離×『統一係数』という係数がございまして、それを掛け合わせて、最終的に事前確定運賃の金額が算出される仕組みになっております」(兼元さん)

「統一係数?」(上田アナ)


 その「統一係数」とやらを ざっくり説明すると・・・『地域や曜日、時間帯ごとに、渋滞状況などを数値化したもの』で、国が決めています。例えば、京都市内で1000円分の距離を日曜深夜0時台に乗ると、「1.33」が掛けられ1330円になります。でも、いざ事前確定運賃で乗ったものの、予想外にスイスイ走れたってことになれば?


「事前確定運賃よりもメーター運賃の方がお得に、要するに料金が安いというパターンもございます」(兼元さん)


 どうやら、利用者にとっては、上手に使い分ける必要もありそうです。


 とはいえ、この新しいサービスを街の人は おおむね歓迎の様子。


「安心するんじゃないですかね、料金が分かっているいうことは」(50代男性)

「その方が安心。だって運転手さんの行き方によって(料金は)変わりますもんね」(30代女性)

「友達と割ったりするときも、(料金が事前に)決まっていれば割りやすくなるので便利かなと思います」(20代女性)

タクシー運賃が乗る前に確定 その裏に業界が抱える問題が・・・

 一方、タクシー会社 側にはどんなメリットがあるのか というと?


「特に酔ったお客さまへの対応が助かるというか・・・」(兼元さん)


 運転手さんたちとって一番困るのが、大ざっぱな行き先だけ告げて寝入ってしまう酔っ払ったお客さん。「どこで降ろせばいいのか」が分からず一苦労。その点、「事前確定運賃」なら目的地は分かっているし、料金は支払い済みだし、楽チンというわけ。酔ったお客さんがアプリで配車できるかどうかは、分かりませんけど。


 タクシー会社のメリットは、他にも。


「今までのタクシードライバーは『流し営業』が基本的な営業スタイル。やはりこのスタイルは長年の経験というのが必要とされてきたわけなんですけども、事前確定運賃というシステムを入れることで、お客さまがどこまで行きたいよというのが全部ナビに出てくるので、非常にタクシー業界って人材不足なんですけども、未経験の方でもお仕事できますよと」(兼元さん)

「タクシー業界ってそんなに人材不足なんですか?」(上田アナ)

「すごい人材不足です」(兼元さん)


 日本商工会議所の調べによると、特に人材不足とされる3大業種がこちら。タクシー業界は悲鳴を上げています。お客さんを獲得する切り札として始まった「事前確定運賃」は、運転手を獲得する切り札でもあったんです。

 実は、最近のタクシー業界、「事前確定運賃」以外にも次々と秘策を打ち出しています。


「例えば、京都とかですと『ちょい乗り』」(兼元さん)


 これは、初乗りの距離を短くすること。京都市エリアでは去年、それまでの1.7kmから1.2kmに短縮。その分料金も下げ、気軽に乗ってもらおうという作戦です。そして、QRコードや電子マネーなどで支払うキャッシュレス化を進めるのも策の一つ。さらに、


「最近はユニバーサルデザインという車両が増えておりまして、スライドドアからスロープが出て、そのまま車いすごと乗れるという仕様の車で」(兼元さん)

「私も大阪で乗ったことあるんですけど、乗るのが非常に楽ですよね。段差も少ないし中は広く感じるというか」(上田アナ)

「利便性向上というところでは(業界は)ここ数年でかなり力を入れてやってると思いますね」(兼元さん)

「という中で、事前確定運賃というのは、ある意味、大きな一石になる?」(上田アナ)

「はい、期待しております」(兼元さん)

詳細を見る

詳細を閉じる

  • 1

番組公式SNS

月別アーカイブ(特集)
2020年 2019年 2018年

番組公式SNS