EarthDreamingロゴ 放送内容
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4月 福岡 司
4月 坂本美雨
5月

鈴木幸一

5月 小野田淳乙
5月 石古暢良
6月 渡辺正行
6月 中村 透
7月 宮脇 昭
8月 羽仁カンタ
8月 鈴木祐美子、北本忍
8月 矢島 稔
9月 鈴木祐美子、北本忍
9月 原田麻里子
9月 上岡 裕
9月 森谷秀樹
10月 櫻田 厚
10〜
11月
矢野恭弘
11月 ECO & MUSIC
11月 山崎伸治
12月 疋田 智
12月 小林武史
12月 この1年を振り返って
1月 田中 優
1月 藤崎達也
1月 インドラ・グルン
1月 土居健太郎
2月 金子竜太郎
2月 里中満智子
2月 鮎川ゆりか
3月 青木一夫
3月 桐田哲雄
3月 愛・地球博1
湯本哲哉
3月 愛・地球博2
7月4日ゲスト:(財)国際生態学センター研究所長、植物学者
宮脇 昭さん

宮脇昭1 手塚「宮脇さんは、1950年代に雑草の生態の研究から植物学者としての活動をスタート。その後、2年間のドイツ留学を経て、日本に戻られてからは、日本全国の植生(地表を覆っている植物の集まりのこと)を調査し“日本の植生”そして“植物と人間 生物社会のバランス”というロングセラーを続ける本を発表。1970年代は“ふるさとの木による、ふるさとの森”づくりをスタートし、日本のみならず、海外でも、3000万本以上の木を植え、森の再生のための活動を続けていらっしゃいます。まずは、日本の森の現状、実態についてお話いただけますか?」宮脇「皆さんは日本の森というと杉や松、檜を思い浮かべると思いますが、これらは人間によって木材を取るために昔から植えられた物なんです。もし全く人間の手が入っていなければ、常緑広葉樹林のはずなんです。ですから土地本来の森ではありません。そういう森ですからいわゆる森本来の機能も低下しています。ということは海などにも影響がでて食物連鎖が崩れてしまいます」


宮脇昭2 手塚「宮脇さんは厳しい自然環境に耐え、大災害にも負けず、千年後にも生き続けられる森を再生することをめざして「ふるさとの木による、ふるさとの森づくり」を実践されています。この「ふるさとの木による、ふるさとの森づくり」についてご説明いただけますか?」宮脇「日本人は一方では森を切ったり焼いたりしてきましたが、昔ながらの故郷の木による、故郷の森も作り、守り、残してきました。これは世界に誇れることです。この森は“鎮守の杜”で見る事が出来ます。わたしの考えですが、昔の人は神様や仏様を祀った場所にこういう物を残して、いわゆる“祟り意識”によって守ってきたと思います。ただ戦後、そういった祟り意識がなくなり開発を進めたので、自然に大きな被害が出てきたと思います」手塚「鎮守の杜は各地で生えている木が違うんですか?」宮脇「そうです。ですから鎮守の杜を調べればその土地本来の植物が分かります」

 手塚「阪神淡路大震災の時に鎮守の杜が防災林として機能したということなんですが、本来ある森というのは私達を守ってくれるんですね」宮脇「そうです。日本を歩いて日本の森を調べてみましたら、あまりにも本来の森がありませんでした。そこで1970年代の初から“これから千年残る鎮守の杜を作ろう”と活動しています」

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7月18日 宮脇 昭さん

 手塚「宮脇さんは、最初に雑草の研究から植物学者としての活動をスタートしていらっしゃいますが、雑草に興味を持ったのは、どんな理由からだったのですか?」宮脇「私は岡山県の農家の4男坊として育ちました。横着者で、2階から近所の人が農業をやっているのを見ていました。農業は草取りが仕事のすべてなんです。今でこそ除草剤がありますが、当時はありませんでした。そこで日本の農家の方は薬を使わずに雑草を抑えることが出来たら、楽に幸せになると思ったんです。それが始まりです」

 手塚「その後、ドイツに2年間、留学されるわけですが、一番印象に残っていることは何ですか?」宮脇「朝から晩まで土を掘ったり草を取ったりしていて、ある日ラインハルトチクセン教授に我慢出来なくなって“もうちょっと科学的な研究をしたい”と言ったんです。そうしたら“まだ人の話や本を読むのは早い。見ろ現場を。30数億年の地球の、命の歴史がある。そこには何万マルクの研究費でも出来ない物がある。だから現場に行け。そして自分の体を測定器にし、自然がやっている実験結果を目で見、匂いを嗅ぎ、なめて、触って、調べろ”と言われ、それ以来50年泥臭いことを続けています」

 手塚「私の父も自然が好きでよく自然の中に入っていきました。森の中にいると、森が教えてくれると言う話をしてくれたことがあります」宮脇「その人の自然に対する見方によってあらゆる物が見えてきます。私、口幅ったいかもしれませんが、基本的な自然、命を見る見方の哲学というか本質は、似ているのではなく同じなのではないかと思います。手塚先生と」


 手塚「今後どのような森が存在するべきだとお考えでしょうか?」宮脇「自然は多様であり、緑も多彩です。しかし今もっとも大事なのは、土地本来の故郷の木による故郷の森です。これは災害を食い止め、水を溜め浄化する力があります。また地球規模では温暖化の原因になる炭素を吸着する森が少なくなっています。で、森を作る時の原則は、土地本来の森の主役の木と、それを支える脇役の木を取り違えないと言うことです。それと木を密集させます。自然では1平米5百〜千本の根があります。ですから自然の掟に従って、いろんな種類の木を混ぜて植えます。そして競争させます。競争しながら少し我慢して共に生きる。これが健全な生物社会です。それで3年間は草が生えます。ですがこの草は抜いて捨てないで、裏返しにして有機肥料にします。木が大きくなり葉が茂るようになったら、自然の管理にまかせます。それで大事なことですが、背を伸ばしたい木は伸ばしてやる。頭を切らないでください。横は切っても良いです」

中村 透さん 羽仁カンタさん

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