EarthDreamingロゴ 放送内容
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4月 福岡 司
4月 坂本美雨
5月

鈴木幸一

5月 小野田淳乙
5月 石古暢良
6月 渡辺正行
6月 中村 透
7月 宮脇 昭
8月 羽仁カンタ
8月 鈴木祐美子、北本忍
8月 矢島 稔
9月 鈴木祐美子、北本忍
9月 原田麻里子
9月 上岡 裕
9月 森谷秀樹
10月 櫻田 厚
10〜
11月
矢野恭弘
11月 ECO & MUSIC
11月 山崎伸治
12月 疋田 智
12月 小林武史
12月 この1年を振り返って
1月 田中 優
1月 藤崎達也
1月 インドラ・グルン
1月 土居健太郎
2月 金子竜太郎
2月 里中満智子
2月 鮎川ゆりか
3月 青木一夫
3月 桐田哲雄
3月 愛・地球博1
湯本哲哉
3月 愛・地球博2
6月20日ゲスト:(財)日本盲導犬協会、訓練部部長
中村 透さん

中村透1 手塚「神奈川県横浜市にあります、日本盲導犬協会の神奈川訓練センターにおじゃましています。中村さん盲導犬が始まったのはどこからなんですか?」中村「特定するのは難しいのですが、一般論としては第一次大戦後ドイツ。あと直接的に絡んでいるのはスイスですね」手塚「ドイツということは元は軍用犬だったのですか?」中村「日本でも昭和30年代40年代に使われていた盲導犬はほとんどシェパードだったんです。でジャーマンシェパードというのは世界的にも多かったんです。何故かというと軍用犬として飼育されていたからです」手塚「日本で盲導犬を育成している団体と盲導犬の数は?」中村「9法人が育成しています。犬の数はだいたい千頭弱です。で今、目の不自由な方は30万人ぐらいといわれていて、そのうち盲導犬を欲しいと思っている方がだいたい8千人弱というのが今、正式な数字です」手塚「少ないですね〜。1年に何頭ぐらい盲導犬として世の中にでていくのですか?」中村「120〜130の間ぐらいですね」手塚「年間それぐらいしか増えていないのですね」中村「いえ、犬が使える期間というのはだいたい8年〜10年ですから、毎年引退する犬が100頭ぐらいいます。ですから約30頭ぐらいしか増えていないんです」

 手塚「今盲導犬が欲しいと思ったらどういう手続きを取れば良いんですか?」中村「視覚障害の方についていえば、近くの盲導犬協会に電話をするのが一番早いですね。で、電話をするとどちらにお住まいですか?という所から話が始まります。住んでいる所によって行政から受けられるサービスが違うんです。手続きの違いもあります。ですからお電話いただければそういったこともお教えします。それと弱視の方でも犬を持てます。我々は一般の方から寄付を頂いているので、自治体を通さなくてもお渡しすることは可能なんです。ですから気軽にお声を掛けてくだされば色々対処します」


盲導犬 手塚「盲導犬の一生をお教えください」中村「まず我々のような育成施設で生まれる場合と、ボランティアのご家庭で生まれる場合の2つあります。生後60日ぐらいはその生まれたボランティアのお宅や施設で、母犬と子犬が一緒に生活をします。その時期に犬同士のコミュニケーションの仕方を学びます。母親からお乳を貰ったり、兄弟同士でじゃれ合ったり喧嘩をしたりして。その後パピーウォーカーのご家庭に引き取られて、1歳前後までそこに預かって貰います。パピーウォーカーのご家庭では人間社会で迷惑を掛けないような躾をします。で、我々の所に戻ってきて盲導犬になれるかどうかの判断します」手塚「盲導犬になれなかった犬というのはどこに行くんですか?」中村「盲導犬になれなかった犬というのは全体の6割〜7割ぐらいいるんです。その子達は一般のご家庭にペットとして引き取って貰います。これは一般の方にお分かり頂きたいのですが、ラブラドールの中でものすごく優秀な犬が盲導犬になるというイメージがありますがそういうことではなくて、盲導犬に向いている子もいれば、警察犬に向いている子、麻薬犬に向いている子、介助犬に向いている子それぞれに特性が違うんです。ですから盲導犬になれないからダメ犬と思わないで欲しいんです。そこだけは誤解しないように強くお願いしたいのです」

 手塚「引退した犬はどこに行くのですか?」中村「引退した犬を引き取って育ててくれるボランティアの方がいます。そこで余生を過ごします。また最近は、定年になってご夫婦で生活されていて新たに犬を飼うということはこれから10何年飼うことになります。そうすると自分たちの方が先に逝っちゃうんじゃないかという心配を持っている方いらっしゃるんです。で引退犬だったらどうにか面倒をみてあげられると考える方が徐々に増えています」

 手塚「盲導犬というのはボランティアの方に支えられていると感じますが、この協会自体はどうですか?」中村「盲導犬の育成事業というのはボランティアがいることが前提で成り立っているんです。これは世界的にそうなんです。犬の頭数から考えたら年間20〜30頭の盲導犬を我々は作っているだけなんですけれど、延べにして年間200人ぐらいのボランティアの方に手伝って貰っているんです。それだけではなくてこの事業を支えていくには募金活動などもしなくてはいけません。そういうことにもボランティアの方にお手伝いして貰っています。である厚生労働省の方にもっと国から助成がでても良いんじゃないかという話をしたことがあります。そうしたら“盲導犬の育成事業というのは理想的な社会福祉事業じゃないですか”と言われたんです。“行政もちょっとは協力している。一般の方がものすごく協力している。そういう社会福祉って良いんじゃないですか”ということなんです。なるほどそうだなという気もしますね」

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6月27日 中村 透さん

中村透2 手塚「私たちが盲導犬、そして視覚に障害がある方と街で出会った時に心掛けるべきことについて教えて頂きたいと思います。まず、盲導犬に対して注意するべきことについて教えていただけますか?」中村「一般的に言われているのが仕事中に声をかけないでくださいですとか、触らないでください、食べ物をあげないでくださいということですね。これはルールとして定着してくれればいいなと思います。特に勝手に犬に触る方がいらっしゃるんですが、犬を連れている方は目が不自由ですので犬に触られても分からないんです。ですから一言、連れている方に声をかけて了解を取ってからにしてください。あと犬好きな人というのは犬を見つけるとニコニコしますね。でも例え声をかけなくてもそれも盲導犬にとっては良くないのです。ですからお願いしたいのは、好意的に無視をしてくださいということです。ちょっと難しいですが...」

 手塚「昨年制定された法律“身体障害者補助犬法”この法律の制定前と制定後ではどの様に変わりましたか?」中村「どうでしょうか。正直に言いますと盲導犬に関してはそんなに大きな変化はありません。他の介助犬などは法律が出来るまでは存在自体が認められていませんでしたから、彼らにとっては非常に大きかったと言えるでしょう。ただ今まで犬が来るなどと思わなかった所、例えば病院や動物園、水族館、お寺、格式の高い和風旅館、公衆浴場などに犬が来るかもしれないという意識を植え付けたことの意味は大きいですね」手塚「もし盲導犬が来として、どうして良いか分からない場合はこちらに問い合わせても良いのですか?」中村「こういう協会にはそういう相談窓口があります、またEメールでも対応していますから聞いていただけるとありがたいですね」


中村透3 手塚「盲導犬訓練士になるにはどのようなことをしていけばいいのでしょうか?」中村「今年から日本盲導犬協会は訓練士の学校を開設しました。これは学校法人ではないのですが、登竜門になればいいなと思っています。で今までは、各盲導犬の育成施設に就職をして犬の勉強をしました。盲導犬訓練士という正式な資格を得るためには、最低3年間勉強をしなくてはいけません。基準としては20頭以上の盲導犬の訓練をしなければいけないというものが設けられています」

 手塚「中村さんが期待する、盲導犬の今後は?」中村「盲導犬がもっと普通になってもらいたいですね。こういう取材が入るというのはありがたいことなのですが、犬も特別、訓練士も特別ということではなくて、もっともっと普通になってもらいたいということです。
 それと欧米と比べて日本はどうかといわれますが、日本の盲導犬の質は欧米と比べて悪いわけではないですしむしろ環境が厳しい分、日本の方がいいと私は思っています。ただ受け手側の社会がどうかというと、残念ながらはるかに欧米社会のほうが進んでいます。それは何かと言うと、欧米で盲導犬が歩いていも珍しがりません。またちょっと盲導犬が吠えたら日本なら大騒ぎですよね。でも欧米では誰も気にしません。盲導犬といっても特別ではありません。犬は犬ですからもう少し社会も視覚障害の方もその辺を分かった方がいいだろうと思います。あまりにも期待しすぎていると思います。
 育成事業に関して言うと7,800人ぐらいの方が犬が欲しいと言っているのならば早く出そうよということですかね。各施設が少しでも待たない状況をもっと作らなくていけないと思いますし、やり続けることが重要だと思います」手塚「あとボランティアの方が気軽にねお手伝い出来るようにね...」中村「そうですね。遊びに来るような感覚でボランティアをやっていただければ。本当に犬好きでかまわないですから、犬触りに来たのということでもかまわないですから。自分の楽しみのためにボランティアを続けてもらいたい。細く長くボランティアを続けて頂くと、多分良さというのがドンドン出てくると思います」


日本盲導犬協会のホームページ
http://www.moudouken.net/

渡辺正行さん 宮脇 昭さん

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