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2009年9月 3日

人生は、本棚からワンツーパンチ

■バッファロー吾郎さん、いよいよ明日千秋楽です■長いと思っても終わりは意外に早くやってくるんですね。まさに夏休みのように。そして、人生のように!?■とにかく、来週からABCホールは元の日常に戻ります。でもこの『元の日常』というのが、プロありアマあり芝居あり笑いあり映画ありTV収録あり・・・常に一筋縄ではいかない状況なので、いやはやスタッフのみんなには苦労のかけっぱなしです。イベント情報、チェックしてくださいね■さて艦長、本をよく買い込みます。その割に読むスピードは遅くて、さらに最近帰りが遅いわ老眼が進行するわで、未読の本が溜まる一方なのです。本棚に並べた状態で幅3㍍分くらいある感じです■別に古い順に読むわけではなく、気分次第で次に読む本を選び出すので、中には4~5年前に買ったのも残っています。そういう本って買った時の「熱」みたいなものがすっかり冷めているのでますます手につかないわけで・・・困ったものです■そんな古参未読本の中で実は1冊だけ、『楽しみを後にとっておきたい』という理由で手を出せずにいる本があるのです。大手出版社の立派な'選書'なんですが、題名が『江戸の閨房術』。説明は控えますが、はい、内容的にはそういう本です、、、■でも言い訳するわけじゃないですけどぉ、非常にアカデミックな探究心が購入動機なんですよ■江戸時代、心中が大変流行ったそうです。享保年間には、「心中の生き残りは人殺しと見なす」、「心中に関する書物や芝居は禁止する」、などの政令が幕府によって次々出されるほど、男女の心中が多く、また世間の耳目を集めたのです。当代の流行作家・近松門左衛門が実際の心中事件に取材し、即座に浄瑠璃に仕立てて大当たりをとったことも相乗効果を生んだのでしょう■でね、この種の心中モノの基本って、《何不自由なく暮らす大店の若旦那みたいな男性が遊女と深い恋に落ち、この世で果たせぬ思いを来世に託して共に果てる・・・》みたいなことじゃないですか。でも男性の方は基本金持ちですから、男女の仲に関してそんなに未熟でもモテナイ君でもなかったはず。ああそれなのに!多くのそんな色男達が破滅の道へと向かった。そこまで彼らの人生を狂わせるほどの『秘密の何か』が、遊郭の恋にはきっとあったのであろう、と。その謎を解く鍵が得られるのではないか、と考えたわけです。まあ当時と今とでは生と死の間のハードルの高さがかなり違うのでしょうけど、それにしても、ねえ■まだ1ページも読んでないし、ネットで買ったので立ち読みもしてないし、内容に関しては全くの見当違いかもしれないんですけどね■閑話休題■ていうかここからも閑話ですが・・・僕、通勤用には手軽な新書を読むことが多いのですが、たまたま直近に手に取った2冊が連続してどちらもスゴク面白くて、しかも内容的に不思議なリンクをしていたので書き留めておこうと思ったのです■3日ほど前に読んだのが『落語論』(堀井憲一郎)。今朝読み出したのが『日本語の学校』(鴨下信一)。最近の新書って中味スカスカなのも多いのですが、この2冊はどちらも、驚くほどヘビーでテンションが高くて、そして実践的、かつ実戦的です。共に『声を出して、日本語で語って、聞く者の心を動かす』ことの方法論に関して、実に具体的に述べられています■例えば『間(ま)』という概念についても、共に非常にわかり易く、しかし本質を見据えた分析がされていて、しかも両者のアプローチの仕方は全く違うので、この『間』の部分を読み比べるだけでも、実に面白いと思いますね。とにかく、俳優、落語家、アナウンサー・・・その他、日本語で発話することを生業にしている人はみんな読んだ方がいいんじゃない!?・・・と思わせる2冊です■なんだかね、本棚からちっちゃい拳がふたつ伸びてきて、油断してたら強烈なワンツーパンチをもらったような・・・今そんな気分なのです■(このかわいい比喩で前半の少々下っぽい話を浄化させたい、艦長)

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