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2013年3月 4日

カタ、カタ、カタ

■今日4日と明日5日は、第8回大阪アジアン映画祭のプレオープニング上映です■暗闇の中で瞬く映写機の強烈なランプ。その光を浴びながらフィルムが送り出されてゆく時に奏でられる、カタカタカタという規則正しい音。それは、映画という魔法の芸術が誕生した19世紀の終わり以来、映写室に出入り出来る限られた人だけが知る、魔法が具現化するときの秘密の音楽でした■ところが、いま世界中の映画館から、この音が消えつつあります。映画が最終的に観客の前で上映される時、その音と光はフィルムからではなく、ハードディスクから出力されるようになってきました。つまり、映画館の映写システムが、フィルムの映写機からデジタルプロジェクターにどんどん入れ替えられている。言い方を換えると、『映画』という商品の最終的なカタチが、アルミの丸い缶に収められた何千フィートものフィルムから、ハードディスクの中、あるいはネット上にある、何テラバイトかのデジタルデータになりつつあるわけです■この変化は、上映時に限ったことではありません。撮影、画像処理、編集、音入れ・・・映画作りのすべての段階においてデジタル化の流れは決定的になっています■日本の山田洋次監督のような一部の制作者は、それでもフィルムにこだわり続けています。しかし、何度でも撮り直しが出来、長時間撮影が可能で、CG処理も一連の作業でたやすいデジタルシネマの優位性は、経済面も含めて決定的なのだと思われます■ABCホールでは、ご存知のとおり年2、3回の映画祭の他に、月に2、3度の映画試写会があります。新作映画の納品形態はどんどんデジタルに一本化されてきているとか。それに対応すべく、朝日放送もこの度かなりの投資をして、ABCホールへのデジタル映写システム導入を決定しました。先月末に入れ替え工事が行われ、実を云うと、今夜が初上映なのです■『セデック・バレ 太陽旗』。旧日本軍の支配に反旗を翻した、誇り高き台湾の人々の物語です。僕たちは、まあ、誇りがないわけじゃないですけど、ここは時代の流れに逆らいません。フィルムみたいに1コマ1コマ何が写っているか目に見えるわけじゃないので、慣れないうちは特に不安だと思うんですけど、まずは順調に上映中のようです。すごくクリアで明るくて、3Dにも対応可能。お客様はきっと誰もご存じないですけど、ABCホールは今夜ひとつ新しいアイテムを手に入れました■あ、そういえば撤去されたあの古い35㍉映写機、結局どうなったんだろう?置く場所さえあれば、家に凄いホームシアターが作れるんだけど・・・(艦長)

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