スタッフブログ
Back Number
2015年5月29日

「スワン・ダイブ」明日から!

■毎年秋にお見えになるカムカムミニキーナさん、今年は半年早く大阪公演のスケジュールを組まれていて、先ほど小屋入りされました。劇団旗揚げ25周年記念公演『スワン・ダイブ』は、明日5/30(土)、31(日)で計3ステです■カムカム主宰の松村武さんはここ数年ずっと、日本の古代史を題材に劇作をされていますが、今回は信州の謎多き土地・諏訪と、日本神話の英雄・ヤマトタケルが絡んだお話だそうです。チラシのモチーフは有名な諏訪大社の奇祭・御柱祭。急峻な山の斜面を使って巨木を滑り落とす、荒々しいというか無茶なあの行事です。諏訪大社にはこの御柱祭の他にも、鹿の生首を奉納したり(現在は剥製)、元旦に境内のカエルを串刺しにしたり、奇妙な儀式がいっぱい残っている。周囲には縄文時代の繁栄を示す遺構が数多く発見されていて、それらの風習も、どうやら神道誕生以前の原始宗教の名残なのです■また、ヤマトタケルは、「諏訪」→「スワン」→「白鳥」の言葉遊び的連想からだとか。これだけでは現代人にはちょっと何のことかわかりませんが、「古事記」「日本書紀」によるとつまり・・・■景行天皇の息子として生まれた小碓命(おうすのみこと)は、ひょんな経緯で兄を斬り殺してしまったことから乱暴者と父に疎まれ、以降、九州の熊襲や東国の鎮圧など遠征ばかりを命じられます。「タケル」は、敵ながらその武勇を讃えた熊襲タケルから授かった名前です。長年にわたる地方回りに疲れ果てたタケルは、今の三重県あたりでついに病に倒れこの世を去るのですが、その魂は白鳥に姿を変え、西に飛んでいったといいます。つまり白鳥はヤマトタケルのもうひとつの姿なのです■ヤマトタケルを主人公にした物語で僕がまず思い出深いのは、もちろん手塚治虫先生の「火の鳥・ヤマト編」。シリーズの中では短編に属しますが珍しいギャグマンガ調で、一番好きな作品です。そして先日ビデオ配信で観た、東宝の第千作目の記念映画「日本誕生」(1959年公開。監督:稲垣浩、特撮監督:円谷英二)がまたすごかった!旧約聖書の主要な物語を描いたアメリカの大作映画「十戒」と同じ趣向で、日本神話のエピソードがオムニバス風に綴られているのですが、全体の縦糸となっているのが、三船敏郎さん演じるヤマトタケルの活躍と悲劇なのです■でも作中で一番楽しかったのは、実は天岩戸の場面。(以下敬称を略させていただきますが、)怒って岩穴の奥に隠れてしまう天照大神が当時の大スター・原節子で、困って策を巡らせる神様たちが、エノケンこと榎本健一はじめ、柳家金語楼、三木のり平、加藤大介、左卜全、有島一郎と、当時の一流コメディアンが総出演。エロティックな踊りを披露する天宇受女命が乙羽信子、そして一瞬の隙に乗じて扉を開ける手力男命が、胸毛で名高い?第46代横綱・朝汐太郎(のちに朝潮太郎)。文字どおりのオールスターキャストで、無論技術の発達した現代の目で見れば何かと「突っ込みどころ」はあるわけですが、映画の楽しさに満ちた作品だと感じました■さて『スワン・ダイブ スワンダイブ.jpg』です。何でも物語の発端は大阪・天王寺動物園だとか。そんな、と書いては失礼ですが、私たちにとってそんな身近な場所を起点に、古代の諏訪へ、地底の王国へ・・・。カムカムミニキーナの舞台はいつも、何千年の時間、何千キロの距離を、演劇という翼で自由に行き来します。タイトルの「スワンダイブ」とは、リングサイドから一挙トップロープに飛び乗り、その反動でリング上の敵に飛びかかるプロレスのテクニック■つまりそんな、聖俗古今東西のイメージのるつぼから生まれる作品には、大作映画とは全く趣を異にした、魂の奥を震えさせる強烈なパワーが宿っていると思うのです(艦長)


カムカムミニキーナ 劇団旗揚げ25周年記念公演
スワン・ダイブ   作/演出・松村武

5月30日(土) 14:00  19:00
   31日(日) 14:00

※開演2時間前まで、劇団WEBサイトで予約可能。当日券は開演1時間前から発売

1
各ページに記載している内容は、掲載時点のものです。消費税率移行に伴う価格変更等についてご留意下さい。
バックナンバー
前の月 2015年05月 次の月
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31