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2009年5月16日

超難問?

■またウダ話です■電車に乗ってるとよく、クイズ形式の広告で私立中学の入試問題などが貼ってあったりするじゃないですか。その中でどうしても分からない「理科」の問題があったんです。ほぼこんな問題・・・

【問】見通しの良い広い平地で、南北にのびる直線道路と東西に伸びる直線道路が交差している。Aさんが乗った自動車が南北の道路を北へ、Bさんの乗った車が東西の道路を東へ向かって走っている。いまAさんがBさんの乗った車を見たらどのように見えるか?①~④の中から1つ選べ。

①北東の方向に走って見える ②東向きに走って見える ③南東の方向に走って見える ④南向きに走って見える

■わざわざ広告に使われるくらいだから、業界的に「良問」と認識されている問題なのだと思います。しかし僕にはどうしても正解が分かりませんでした。いや正直に云えば、実際自分の入試に出されたら、出題者の意図を推測し、③と答えて点数を稼いでおくとは思うのですが、良心に従えば正解は②だろう、と。東向きの道路を走っているのだから、東に決まってるやん、と■出題意図としては、北向きに走る車の窓の風景は見かけ上後方(南)に動いているように「見える」ので、東向きに走る車にその南への動きが加わって「南東」に動いているように見える、というわけですが・・・ホントですか?実際確かめましたか?■人間の目は、脳はそんな単純なものでしょうか?Aさん自身が感じている加速度、揺れ、北に向かっているという認識などを総合し、自分が走る道路と直角に交わる道路を走っているBさんの車を見れば、間違いなくそれは「東向き」に見えるはずです■この問題は本来、『移動する2つの点の相対的な位置関係の変化を、一方を固定させた座標系で考えてみれば?』という数学的?な問題であるはずです。そこにうっかりというか安易にというか、『どのように見えるか』という言葉を使ってしまった。そのおかげで、人間の『視覚』という極めて複雑なメカニズムの問題に否応なく足を踏み入れてしまっているのです■本来理科が教えなければいけないのは多分次のような事実です■知覚とは、光や音などの物理的刺激に対する単なる定量的な認知ではない。刺激をベースに、そこに身体感覚・経験などの要素が加味された複雑なプログラムを経て見事に情報処理がなされた結果である、と■表現を変えると、つまりこの問題って云わば「天動説」なんですよね。「動いている」という自覚を全く持てない地球表面に暮らす我々人間が、何の目印もない大空を見上げたときには、そりゃ天体の「見かけの動き」をそのまま信じてしまいます。人類が地動説を獲得するためには長い年月と多くの犠牲が必要でした■でも、単なる原っぱでしかも道路が通じてるんじゃ、なあ・・・。人間はもっと賢いって(艦長)

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