スタッフブログ

公開稽古、そして

■明日初日を迎えるsunday『グルリル』、まもなく公開リハーサルの開始です。twitter、facebook、blogなどのアカウントを持っている人限定50人に向けての公開で、終了後、その皆さんによって、あちこちのSNSに感想が書き込まれるはず。行こうかどうしようか迷い中の人は、特に注目です!

さて、『勝手に衝撃作品紹介』のコーナー、昨日の『もしイタ』に続いては・・・

■先日閉幕した『KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭2012』の参加作品、東京の演劇集団・ポツドールの『夢の城』という作品です■三浦大輔さんが主宰するポツドールは、あるコミュニティに生活する若者たちのリアルな姿をドキュメンタリー風に描くのが特徴。性や差別など、普段私たちが隠蔽しがちな行為や情念も否応なく前景として登場します。つまり、生々しい。エグい。実は僕、ポツドールの作品はこれまで映像でしか観たことがなく、生の舞台を拝見するのは今回が初めて。覚悟はしていたのですが、『夢の城』(R18)の前に、そんな生やさしい覚悟は簡単に打ち砕かれました■舞台はおそらく東京のアパートの1室。見るからにサイテーな感じの若い男女8人が、共同生活を営んでいます。この部屋の24時間を定点観測するというスタイルの劇なのですが、舞台上では8人の俳優が、ここに記すのも憚られるような行為(主に『AVかよ!?』といいたくなるような)を延々と続けるのです。無論演技ではあるのですが、ギリギリです。いや、一線を踏み越えているような気もします。第1場(深夜2時)は、舞台前面にガラスがあり、観客はバルコニー側からガラス越しに彼らの生態を覗き見するようになっていて、つまり「夜の動物園」なのだと思います。登場人物が、全編80分を通じて、喘ぎ声以外言葉と云えるものを一切発しないことからもそう思います■もうどうしようもなく露悪的な劇で、人によっては耐えられない不快感を催すはずです。なのに・・・我慢してじっと観ていると、不思議に彼らの姿が美しく見える瞬間がある。切なく、神々しいというか・・・。『あーやっぱりみんな人間なんだ。喜びも、悲しみも、抱えながら生きているんだ』・・・そう思わせるディテールの描写が実に巧みなのです■でも役者さんはすごくすごく大変。「東京で演劇やる!」と家を飛び出した子供の姿をこっそり確かめに来た田舎の親御さんがこれを観たら、間違いなく卒倒すると思います。この作品が、廃校とはいえ小学校の講堂(京都・木屋町の元・立誠小)で上演されたというのもすごいです。先生も卒倒だなあ・・・■ポツドール『夢の城』、まもなく場所を東京芸術劇場に移し、『FESTIVAL/TOKYO12』に参加です。『非常に高度な問題作』ですね、間違いなく。

■さて、もうひとつ、ベン・アフレック監督・主演の映画『アルゴ』■これは、誰でも間違いなく楽しめる娯楽作品です。1979年に起きたイランのアメリカ大使館人質事件。このとき、密かに脱出してカナダ大使館にかくまわれていた6人の職員をCIAが救出するという実話を基にしているのですが・・・■人質救出のプロが考えたのが、架空のハリウッド大作SF映画の企画をでっち上げ、6人をそのロケハンにやってきたスタッフに偽装させ、出国させようという作戦。もう2時間ハラハラドキドキしっぱなしの快作です。この作戦には、ハリウッドのベテラン映画プロデューサーと、オスカー受賞の特殊メイクアーティストが実際に重要な後方支援を果たしていて、作品内でも、この大御所2人の活躍振りがとてもかっこいい。つまり、この作品、映画讃歌、ハリウッド讃歌でもあるのです■とある映画評論家さんの受け売りですが、毎年この時期になるとアカデミー賞狙いの作品が多数公開される。賞の投票権を持っているのはハリウッドの業界関係者ですが、自分たちの世界を上手に描いた作品に対してはどうしても評価が高くなる。前回のアカデミー賞で共に5部門を獲得した『アーティスト』と『ヒューゴの不思議な発明』、確かにどちらも"映画についての映画"でした。とすれば、映画界の職人たちの活躍が痛快に描かれた『ラルゴ』、今年の有力候補かもしれません。いやまあそんなことは関係なく、実に面白い作品です■また長くなりました。『演劇1』、『演劇2』については次回に(艦長)

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映画「演劇」

2012年11月09日金曜日
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