スタッフブログ
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スタッフの雑記

SHOW MUST GO ON!

■演劇集団Patchの旗揚げ公演『OLIVER BOYS』、昨夜初日を開けたばかりですが本日早くも千秋楽。あと2ステです■昨日はなかなかに感動的な日でした。舞台稽古がほんとうに開場ギリギリまで行われ、ダメ出しに次ぐダメ出し、そして技術面の修正・・・。スタッフ、キャストとも不安を抱えたままの開幕だったと思います■特に出演者である15人の青年たち、中には学校で芝居を学んできた人もいますが、全員、これほど本格的な舞台に立つことは初めてだったはずです。友人や家族の応援はあるものの、客席の大半は見ず知らずのお客様。チケット代を払って、それに見合った作品を楽しみに来ておられる方々です。商品としての舞台作品をきっちり届ける・・・その難しい作業を彼らは何とかやり遂げたと思います■もちろんそれは、大勢のスタッフの支えがあってこそ。今回特筆すべきはやはり、末満健一氏の脚本・演出の素晴らしさだと思います。ヒーローショーのバックステージもの、という設定そのものは映画・テレビなどで時折見かけます。でもそこに、青年たちの夢と成長、親子の確執、ビジネス界の争い・・・様々なドラマを埋め込み、それをクライマックスのショー本番で一挙に昇華する。ヒーローショーというのはヒーローが勝つに決まっているわけで、その展開自体には本来興味が持てないはずなんですが、ある仕掛けによってその勝敗の帰趨にも手に汗握ってしまうんです。当然の技巧とはいえ、うまいなぁ。こんな素敵な作品でデビュー出来てPatchは幸せです■一生の思い出は昨夜出来たはず。そのアルバムはいったん閉じ、明日に向かって歩いていってほしいと思います。第2回公演は来年3月下旬、もちろんABCホールにて!(艦長)

かっこいい!

■今日は柳家三三独演会の2日目、千秋楽です■今回は怪談特集、僕は昨日夜の部を拝見しました。三遊亭圓朝の傑作といわれる『乳房榎(ちぶさえのき)』。すごかったー!!冒頭で三三さん「怪談と申しましても、稲川淳二さんみたいなのじゃないですから」と笑わせるのですが、まったく、怪談というものに対しての認識を新たにさせられました■おどろおどろしい表現は一切ない。暗闇から化け物が突如現れてワッ!!なんてこともない。でも怖い。文字にするとちょっと陳腐になってしまうのですが、ひたすら人の心が怖いのです。人間の『情』の負の部分。長編人情噺の中の怪異なエピソードが独立して"怪談"として演じられてきたという歴史的経緯からでもあるのでしょうが、圓朝作の傑作怪談・・・『怪談牡丹灯籠』や昨日昼の部で演じられた『真景累ケ淵』、そしてこの『乳房榎』も、広義の人情噺に分類されるみたいです。なるほど■それにしても『乳房榎』のラストは見事でした。圓朝の見事な構成と三三さんの重厚かつ緩急巧みな語り口によって、視覚的印象が実に鮮やか。此の世ならぬものが自らの絵に押した落款、そのまだ乾かない朱肉のてらてらとした感じが、今でも目に浮かぶようです■落語、かっこいい!三三さん、かっこいい!情景描写の地の文が一瞬で登場人物の台詞に変異する、あの"言葉のCG"とでも表したくなるギミックとかね。あれ、やってみたいなー■本日は昼の部のみ、13時から『真景累ケ淵』他、です(艦長)

より遅く!

■あまりに世の中がオリンピックオリンピックと五月蠅いので、へそ曲がりな僕は辛気臭い演劇のビデオなどを観ております■昨夜は、劇場で見逃してしまった第三舞台の封印解除&解散公演『深呼吸する惑星』(2011)。今日は、事務所でお留守番をする合間に、転形劇場『小町風伝』を観ました■ご存知ですか?5年前に亡くなった劇作家・演出家の太田省吾さんの代表作で、1978年に岸田國士戯曲賞を受賞、国際的にも高い評価を得た作品です。古びたアパートの一室に暮らす老婆の生活と、彼女が見た夢とも幻ともつかぬ情景を、能舞台の上で描く、という前衛劇なのですが・・・この作品、ハッキリ云って、辛気臭いにも程があるのです。実は、僕は1977年の初演時に京都の河村能舞台で観ています。どの程度予備知識を仕入れてから観たのかは記憶にないのですが、それはもうビックリしました■まず主役、と云うか劇全体の視線の中心である"老婆"が全編を通じて一言も言葉を発しません。彼女の眼前に現れる他の人物たちが、何やら不条理なお喋りをするのみです■そして最大の驚愕ポイントは何といっても劇の冒頭。役者の登場口から本舞台をつなぐ、長さ10メートルほどの橋懸り(渡り廊下)を伝って、老婆が極度にゆっくり登場する場面です。彼女の身体は、上半身どころか、両足も全く動いていないように見えます。しかし、ほんのわずかずつですが前進しているのは間違いない。よく見ると、足の指だけがモゾモゾ動いています。イモムシのように、指で床をたぐり寄せるようにして前に進んでいるのです。こうして本舞台にたどりつくまでの所要時間が、実に40分!観客にとっては時計の長針をじっと眺めているような時間です。この間、能楽堂内に生まれる音は、わずかな床板のきしみや衣ずれ、そして観客の咳払いなどのノイズだけ。さらに驚くべきは、この部分の戯曲の描写です。この歩行の間中ずっと老婆が心の中で問わず語りに語り続ける思い出話が、饒舌に、びっしりと書き込まれているのです。つまり、彼女は喋っていないけれど喋っている(戯曲が今手元にないので、少々間違っていたらすみません)■僕が今日再見したのは1984年に上演された時の映像で、2008年にNHK-BS2の『昭和演劇大全集』という枠で再度放映された時に録画したものです。実は、この40分の登場シーンはほとんどカットされています(初回放送時は不明)。これはまあ、いかにBSとはいえ仕方ないかもしれません。放送事故だと思われるかもしれない。その代わり、本編の前に、歌舞伎批評家で現代演劇にも造詣が深い渡辺保さんによる鮮やかな解説がついています。劇作家・女優の高泉淳子さんとの対談形式によるこの名解説によって、日本の現代演劇史におけるこの作品の意義、そして独自の魅力が実によく理解できるのです。唐十郎、つかこうへいはじめ、マシンガンのように素早く大量の台詞繰り出される舞台が演劇界を席巻していた70年代。その嵐の中で、"沈黙"を武器に、言葉の権力を完璧に奪い相対化して見せた『小町風伝』。いやー素晴らしかった!■・・・とても残念なのは、こうした貴重なアーカイブ映像の発掘にせよ最新作品の紹介にせよ、NHKで日本の現代演劇が見られる機会が、昨年のBSチャンネル統合以来激減してしまったことです■『出来るだけ身体を動かさず出来るだけゆっくり10m歩く』という競技があれば、間違いなく老婆役の女優・佐藤和代さんは金メダルなのになあ(艦長)

初山ちゃん!(というと手羽先みたいか)

■今日は、山ちゃんこと南海キャンディーズ・山里亮太さんのソロイベントです。舞台上は一人きり。Twitterの画面をネタに喋りまくるそうです■自虐キャラが売りなので褒めるとよくないのかもしれませんが、山ちゃんのコメント力はラジオのトーク等でも高く評価されています。かつての本拠地・大阪では案外披露されてこなかったので、楽しみです。前売は完売、わずかの当日券はまもなく発売開始です!

■さて、ミジンコターボさんは昨日無事千秋楽。お疲れ様でした!小屋入りするなり座長から打ち上げに誘っていただいたのですが、昨日僕はお休みを頂戴してしまい、京都に観客10人ほどの小さなお芝居を観に行っておりました。すみません!炎天下自転車で行ったんですが、きつかったー■聞けば、バラシの最中に突然、いま来阪中の某大物劇作家兼演出家が見学に来られたとか。秋の若手公演のためですね。また年末には、別の某大物座長の一人芝居の上演も決まっています(共にもう情報公開されているようですが、どちらの劇団のHPにもまだ載っていないので、念のため伏せておきますね)。いやはや、いろいろ楽しみです・・・(艦長)

御礼

■ABCホールプロデュース#3『目頭を押さえた』、一昨日無事終了しました。ご来場いただいたお客様、本当にありがとうござました■金替康博さん、緒方晋さんら、関西が誇る巧い役者陣、そして東京小劇場界の人気女優・七味まゆ味さん。芝居好きなら誰もが『いいキャスティングですね』と褒めてくださいました。そして作品の骨格となったのが、横山拓也さんの脚本、上田一軒さんの演出です■この2人が初めて組んだのは、実は"真夏の會"という演劇ユニットで2009年に上演された、『エダニク』というお芝居でした。この作品は日本劇作家協会新人戯曲賞を受賞し、その後2011年に伊丹と東京で再演されました。僕はこの時お誘いをいただいていたのですがスケジュールの都合がつかず観に行けませんでした。ところがこの公演を観たN君がその内容の素晴らしさに感銘を受け、その話を聞いた僕も後日ビデオを取り寄せてもらって拝見し・・・結果今回の公演の中核を担っていただくことになったのです■『エダニク』は、タイトルから連想されるとおり、食肉処理場で働く人々のお話です。普段なかなか人の目に触れない場所なのですが、横山さんは現場をきっちり取材して執筆し、リアルな会話劇に仕上げました。『働くこと』についての男たちの物語です■目頭千秋楽 002.jpgそして今回、横山・上田コンビが挑んだ題材は、『人を葬ること』についてでした。これまた重たいけれど、人生において誰もが直面する問題です。誰もが何度か近親者の死に立ち会い、そして最後は自分が主人公になる。僕個人も3年前に父を亡くし初めて喪主というものを体験して、その時も『お葬式ってドラマの宝庫だな』と心の片隅で考えたりしていたこともあり、とても興味がありました。脚本が徐々に上がってきて、『喪屋』という不思議な存在や、『村人の遺影を撮る女子高生』という実に巧みな設定を目の当たりにし、手応えは更に強まりました。面白くなりそう。・・・しかし、いくらいい芝居が出来ても、お客様に観てもらわなければ意味はありません■PRという点では、難しい作品だったといえそうです。、絶対面白いんだけど、地味。チケットを買おうか迷っているお客様に、どうすれば『目頭』の魅力が伝わるだろうか?朝日放送が主催する舞台ですから、テレビやラジオでのPRなど、一般の小さな劇団に比べればはるかに情報宣伝に関する条件は恵まれています。それでも、やはり相当の困難が予想され、それは当たりました■しかし、初日が開き、お客様の高い評価が口コミやTwitterなどで広がったのが力となったようです。千秋楽は、お蔭様で満席で終えることができました。前にも書きましたが、新聞や雑誌に載る"劇評"というものは、残念ながら、特に関西において滅多に観劇ガイドにはなりません。読者の目に触れた時点で殆どの場合その公演は終了している。対して、Twitterを代表とするソーシャル・メディアは、誰でもほぼリアルタイムに観劇の感想を発信することが出来ます。初日が開いた後、どれだけの感想ツイートが寄せられるかがその後の集客に大きな影響を及ぼす、とは最近楽屋内でよく云われているお話です。今回も、ご覧いただいた皆様の声が大きな後押しになったのだと思います■小劇場におけるロングラン公演の必要性を説く声を最近よく耳にします。"どこの劇団だから"、"誰が出てるから"、ではなく、『面白いから』お客様が集まる、というのは、興行としても芸術活動としても正しいあり方であるはずです。だからこそ、のロングラン待望論なわけですが、小さなカンパニーには経済的においそれと挑戦できないことも事実です。すでにお伝えしたとおり、今秋以降ABCホールでは定期的なTV番組収録がなくなり、これまではお断りせざるを得なかったロングラン公演が出来るようになりました。どうですか?関西の現状を変えるために、誰か一緒に考えませんか?■・・・さてさて、関西若手劇団期待の星・ミジンコターボさん、今朝小屋入り。これまで文化祭には出ていただいてますが、劇団公演としては初ABCです。すごく素敵な舞台装置が出来上がりつつあります。初日は金曜日!長くなったのでミジンコさんの件は明日にします■写真は、千秋楽の終演直後、『目頭』の作/演とキャスト、黄金の十人です。イェイ(艦長)

本日当日券、ほんのわずかです

■ちょっと間が空いてしまいましたが・・・表現・さわやか『ロイヤルをストレートでフラッシュ!!』、めーちゃくちゃ面白かったです。巧みに構成された脚本で実力のある役者がバカをやりきる素晴らしさ!ですね。表現・さわやかは、『コントユニット』を標榜しています。コントというと、演者の個性を重視した、時には照れ笑いスベリ笑いも込みの軽い笑劇、というイメージがあります。無論僕はそんなのも好きですが、お笑いタレントじゃない、演劇集団がやるコントとしての最上級のものを見せていただいた気がしました。また観たい!

■さて、着々と出来上がってきているABCホールプロデュース『目頭を押さえた』。昨夜、通し稽古が始まってまもなく三代澤康司アナウンサーがフラリと稽古場を訪ねてくれました。そして1時間、じっと稽古を見てくれたのです。次第に彼が身を乗り出していくのが分かります。そして終わって一言。『めちゃくちゃ面白いですやん!』■いやー、ホっとしました。身内ばかりで何日も稽古を続けていると、『いま自分たちがやっていることは面白いのか?』って不安になることがあるんですよね。そういう時に信頼できる外部の人の言葉というのは実に有難いものです。面白いんですよ。ご期待ください!

■その三代澤アナ、今日は『山田雅人かたりの世界~かたりと落語とハーモニカ』に出演です。仲良し五十男3人組の会、ですね。山田雅人氏独自の「かたり」芸を中心に、お馴染み(?)三代澤アナの落語、そして、7年前病に倒れ懸命にリハビリを続けるむ雀さんのハーモニカのコラボレーション。心がほんわか温かくなること請け合いです■僕は3人より少しだけ歳は上ですが、20年以上前『おはよう朝日です』で一緒に仕事をしていた仲間でもあるので、今日はスタッフとして頑張ろうと思います(艦長)

本日初日!

『スピリチュアルな1日』、本日初日、日曜までの5ステです■初演は昨年3月末から4月にかけてだったのですが、震災の影響で一部公演が中止になったそう。今年、満を持しての再演です。M-1チャンプ・NON STYLEの石田明がテレビディレクター役で主演。彼の暮らすマンションで起こる心霊現象を巡って繰り広げられるドタバタ・ヒューマンコメディ、といった感じでしょうか。須藤理彩、片桐仁、諏訪雅(ヨーロッパ企画)他の芸達者たちが暴れまくる、すごーく賑やかな舞台になりそうです!

『スピリチュアルな1日』 脚本:小峯裕之  演出:板垣恭一

スピリチュアル.jpg6月 29日(金)        19:00

    30日(土)  14:00  18:00

7月  1日(日)  14:00  18:00

 

※チケットに関するお問合せはキョードーインフォメーション 06-7732-8888 (10:00-19:00) まで。会場で当日券が出るか否かは微妙です。

 

■余談ですが、昨夜このお芝居の夢を見ました。ABCホールでの上演中、あまりに客席が盛り上がっているので、ロビーにいた僕はこっそり客席を覗いてみたのです。ちょうど物語中盤のドタバタシーンで、舞台上ではベッドが飛び回ったり壁がガタガタ動いたり、霊が大暴れしてもう大変!(夢の話。実際の展開は知りません)と、突然客席の明かりが点きます。同時に、客席最後方で観ていた女性が大声で、「ハイ皆さん次に行きまーす!」。するとぎっしり埋まった客席の約半数の人が立ち上がり、ゾロゾロ出て行ってしまったのです。役者さんたちは呆然。・・・どうやら、演劇鑑賞が団体ツアーのパッケージの中に組み込まれていて、予定時間が来たのでツアコンのおねえさんが容赦なく連れ出したわけですね■えーと人の夢の話を聞かされるほど迷惑なことはないとはよく存じていますが、ちょっとスピリチュアル(?)な体験だったもので、失礼しました(艦長)

舞台の裏側、月の裏側

『目頭を押さえた』非常にいい感じで稽古が進んでいます■ある田舎の女子高生の身に起きた幸運な出来事。しかしその出来事をきっかけに、二つの家族の人間関係が微妙に変化していく。その変化のザラリとした肌触りのようなものがたまりません。何気ないようでいて、実は決して見てはいけないものを見ているかのような、不思議な気分になる登場人物たちのやりとり・・・■舞台となる家の敷地の一角には、『喪屋』と呼ばれる小屋が建てられています。古来その集落で亡くなった人の遺体を安置し、葬儀を執り行ってきたという空間です。死者の世界につながっているかのような、独特の空気がそこには漂っています。しかし、本当は、生きる者の何気ない日常の中にこそ、異界への入り口が広がっているのではないか?そんな思いにさせる作品です■リアリティが勝負のお芝居ですから、登場人物の経歴や現在の立場、あるいは、舞台上には実際現れない家の間取りなどの「設定」の確認は重要です。おかしな矛盾が起きないように、作家・演出家を中心に気を配りながら制作をしているわけです。当然ですが大切なことです■しかし昨夜僕、すごいものを観てしまいました。『目頭を押さえた』のおよそ1万倍の制作費をかけて昨年作られた、ハリウッドの超大作SFシリーズ映画です。そのぶっ飛んだ展開が各所で評判を呼んでいたのですが結局劇場で観る機会を得られず、最近BSで放送されたものを録画視聴したのです■僕は、普段から映画にせよ演劇にせよストーリーの読み取り能力が極端に低いので、全体の筋立ての件はさておきなのですが、物語の発端部分でもう最大級にビックリしてしまったのです■1969年7月20日、アポロ11号の月面着陸。人類史上に残る快挙として、その模様は全世界に生中継されました。もちろん僕も固唾を呑んで見た一人です。ところが!この世紀のショーの陰で、アポロの乗組員は母国から秘密のミッションを負っていた・・・。僕の大好物の偽史・陰謀モノみたいだぞ!?ってもうワクワクする設定です■そして、そのミッションがなんと『月の裏側にある異星人の遺物を見つけること』、だったのです。むぅ...。ご存知のように、月という星は地球にずっと同じ面を向けていて(自転と公転の周期が等しい)、だからこそ「表」と「裏」があるわけです。宇宙人の遺物が長年発見されなかったのも月の裏側にあったから、という設定です。では、月の表側にある「静かの海」に着陸した2人の乗組員、アームストロングとオルドリンは、どうやって裏側に行ったのか?歩いてです。月は直径が地球の4分の1もある大きな衛星なので、往復で数千キロは歩いているはずです。さらに、この任務がどうして世界中の人にバレなかったかというと、月の裏側に入って通信が途絶していた間に遂行したからだという・・・。えーと、裏と表が固定しているからこそ見つからなかった遺物のはずなのに、いつの間にか月の裏表は常にグルグル移ろっていることになっている■もうなんだかすごいです。『そんなチマチマしたことどうでもいいんだぜぇ。CGもアクションも凄いぜぇ。ワイルドだろ?』そういうことかもしれません■うん、参りました(艦長)

成立

■昨夜行われた笑い飯ひさびさのABCホールLIVE、さすがの内容でした■実は全部は拝見しなかったのですが、計3本演じられた漫才の1本目、『くいだおれ太郎が通天閣の下に置かれたらどんなことをしゃべるか?』という設定で繰り広げられた2人の例のボケ合戦は秀逸でしたねー。くいだおれ人形の単調な手の動きと、いかにも録音っぽいその口調が、M-1GP2003で披露した伝説の「奈良県立歴史民俗博物館」のネタを思い起こさせもしました(マニアックな話ですみません)。彼らは毎回ライブの冒頭で「客席が高齢化している」という話題を振るのですが、実はつまり、笑い飯の漫才は大人の鑑賞に堪えるインテリジェンスを備えているということですよね。

■さて話はガラリと変わりますが、消費税アップをめぐって国会が不穏な空気に包まれている中、昨日全会一致でひっそり成立した法案があります。『劇場、音楽堂等の活性化に関する法律』、通称『劇場法』です■ざーっと関係資料に目を通してざっくりまとめると、ですね。こんな法律です。

『日本の劇場は、特に地方においてはほとんどが公立の施設であるが、現状、文化施設としての機能が十分に発揮されているとはいえない。これからは、『劇場運営者』、『上演団体』、『地方公共団体』それぞれの役割を明確にし、連携していこう』

『特に国および地方公共団体が取り組むべき事柄を明確にし、専門的知識を備えた人材育成などを中心に、環境整備を進めていこう』

『具体的な指針はこんご国(文化庁)が作成するように』      ということです。

■この議論のベースに、バブル期以降のいわゆる『ハコモノ行政』の寂しい末路に対する反省があったのは間違いないでしょう。日本の津々浦々、無数の市町村で威容を誇る、場違いにモダンな文化会館。今はどこでもHPがあるので誰でも閲覧することが出来るのですが、たいていその予定表はガラガラです。たまに催しが入れば、2000人収容の大ホールで地元の人たちのカラオケ大会・・・なんて笑えないような話を聞いたりもします。カラオケが悪いとは云いませんが、明らかに建設の意図とは違う■そういう空虚な現状を脱却して、『ものづくりの出来る劇場』を育てていこう、というわけですね。国会の全会派が賛成したということですから、ほとんどの人は納得しているのでしょう■しかし、演劇の現場の人からの不安の声を聞くこともあります。つまり、これまで上演団体(劇団など)に対して、各公演単位で一定の条件を満たせば拠出されていた公的機関の助成金が、こんご劇場の方に回ってしまうのではないか。つまり、劇場の資金と人が豊かになる分、劇団の主体性や経済的側面は却って苦しくなるのではないか、と■この劇場法がこんご実効性を獲得できるのか疑問を持つ向きもあるようですし、いずれにしても時間のかかる話ではあります。しかし、民間の劇場であるABCホールも、まったく無関係ではいられないはずです。しっかり勉強していこうと思います(艦長)

台風4号接近中

■詳しくは後日お伝えしようと思いますが、昨日、ある葬儀社さんにお邪魔して、いろいろお話を伺ったりして参りました。もちろん、来月7/20(金)~23(月)のABCホールプロデュース『目頭を押さえた』に関連する用事です■日本のお葬式のあり方は近年大きく様変わりしてきました。あ、■それで思い出したのですが、お葬式同様、結婚披露宴のスタイルも変化していますよね。いまや、仲人あるいは媒酌人を立てて行われる結婚式は1割に満たないそうです。新郎の上司が媒酌人として二人の経歴を披露し、新郎新婦の職場の重鎮が一人ずつ主賓として祝辞を述べ、最後にもう一人の大物が登場してようやく乾杯へ・・・みたいな『職場重視型』のフォーマルな披露宴は激減しているようです。代わって、形式にとらわれず、新郎新婦がアイデアを出し合って親しい友人と共に和気藹々と楽しむ、みたいな手作りのパーティが増えているとか。結構なことです。が、この傾向が高じて、「仲間で盛り上がりたいから」と、娘の結婚披露パーティに呼んでもらえなかった父親がいるのを僕は知っています■本題の前に思わず愚痴ってしまいましたが(あ!)、お葬式の話に戻ります

目頭.jpg■自分が若かった頃を思い出すとですね・・・。たとえば職場の上司のご家族に不幸があると、その訃報が届いた瞬間から、ちょっと不謹慎な言い方ですが、職場は一気に『お葬式モード』になりました。どうしても外せない仕事以外は後回しにし、若手社員には、関係者への連絡、受付、道案内、お香典の管理など役割が割り振られます。一番難しいのは関係各位からいただいた供花の配置の指示で、これはリーダーの仕事です。まあごく個人的な体験ですが、一昔前まではどこの会社でも似たりよったりではなかったでしょうか■最近そういう形の『職場主導』の葬儀は減りました。もちろん今でも、お葬式の形は、故人や喪主の年齢・職業などに大きく左右されるとは思います。しかし大きな流れとして、故人に近い人のみでこじんまり執り行う葬儀が増えているのは間違いありません■では自宅での葬儀が増えているのかというと、そういうわけではない。地域による差が大きいのですが、関東や関西では民間の式場で行われるケースが全体の7割以上、その他寺院や公営施設を利用する場合もあり、自宅葬は全体の十数パーセントだそうです。親族が一堂に会する空間が作れないという、都市部の住宅事情がその根底にあるのは間違いありません。しかし、遺族の心労の緩和などに配慮し、柔軟できめ細やかな対応を心がける、近頃の葬儀社さんの企業努力の結果でもあるような気がします■誰もが生涯何度かは立ち会い、そして最後には自分が主役となるお葬式。『目頭を押さえた』は、このお葬式をめぐる二つの家族の物語です。重い題材ですが、だからこそ、劇は軽やかな会話で進行します。笑えます。個性的で実力十分の役者さんが揃いました。いよいよ明日、本格始動します!!■業務連絡:今夜の先行稽古は台風接近のため休止します(艦長)

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