スタッフブログ
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スタッフの雑記

設定と世界と物語と、劇場入り!

■劇を作るとき、ある奇抜な設定を持ち込んで、そこから生まれるあれやこれやを軸にストーリーを展開していく、というのはごく普通のことだと思います。例えば、若い女の子が、父親に自分の恋人を紹介することになるんだけど、実はその恋人は父親より年上の老人で、最初の対面の場面で父は偶然現れた若いイケメンを彼と勘違いしてしまうもんだから、娘はとても真実を明かせなくなり・・・みたいな。まあ『ドラマ』を作るわけですから、喜劇にせよシリアスな劇にせよ、何かしら普通でない状況を登場人物たちに背負わせるのは当然でしょう■問題はその先にある。というか作品の良し悪しは、そこから先で決まる。特別な状況に置かれた特別な人々の物語が、どれだけの普遍性を獲得できるのか、だと思います。別に、物語はすべからく教訓的であれ、などと云っているのではありません。演劇や映画を観るにしても小説を読むにしても、観客あるいは読者が、その作品に触れたことによって、世界や歴史や社会や人間に対する思い、あるいは認識がほんの少しでも変わること。それが、『ドラマ』の存在意義(のひとつ)ではないかと思うからです■なんだか観念的なことを書いていますが、先日観た、ある短い喜劇に対して抱いた違和感が基になっています。数人の男女が登場して、その中の1人を除く全員がある伝染性の病に罹っていることが判明します。いろいろドタバタがあって、結局罹っていない1人だけがある別のアクシデントで死んでしまう・・・というお話(わからないように書こうと思っても知ってる人にはこのネタわかりますよね、ご免なさい)。ま、ゲーム的な短編コメディなのですが、病気や死というものが単なる道具立てとしてだけ使われているのが、かなり気になったのです。トシだから?いやそうじゃないと思う■映画やテレビと違って、演劇は狭い舞台と生身の肉体が全てです。その不自由さが逆に観客の想像力をかきたて、生命の真理でも、究極の愛の姿でも、強烈に描ける可能性を高めている。普遍的な大きな物語が背後にしっかりあること、それがいい演劇の条件なのではないかなあ、と僕は勝手に思っているのです。

■さて、先日青山円形劇場での東京公演を終えたばかりの劇団・イキウメ、本日小屋入りされ、仕込み真っ最中です。ABCホール始まって以来と云えるほどたくさんの照明機材を使用し、緻密な準備が行われています。今回の作品『太陽』は、SFです■バイオテロによるウイルス感染で激減した人類。しかし、感染者の中に奇跡的に生き残った人々がいた。彼らは、肉体的にも頭脳的にも人間をはるかに上回る存在に変異していた。それから数十年。今や多数派となった彼ら「夜の住人」と、古くなってしまった普通の人々が共存する世界・・・。こんな奇抜な舞台設定を、チラシや劇団ウェブサイトで明快に説明しておられます■《別に勿体つけて隠すほどのことじゃない、世界設定からようやく物語は始まるのだから》・・・そんな堂々たる自信の表れだという気がします。いやが上にも期待が高まるわけで・・・■明日金曜からわずか4ステ。前も書きましたが、イキウメ、見逃すべきではないと思います(艦長)

イキウメ 『太陽 THE SUN   作・演出 前川 知大

太陽.jpg12月 2日(金)       19:00

     3日(土) 13:00  18:00

     4日(土) 13:00

※予約・問い合わせ  06-7732-8888    (キョードーインフォメーション)

※当日券は開演1時間前から発売

 

栄光の背番号27

■日本シリーズがいよいよ始まりました!・・・と僕はテレビの電子番組表で知りました。昨日は人気球団代表の衝撃的な記者会見がありましたが、プロ野球、ちょっといろいろ大変ですね■1週間ほど前の夜。地上波テレビ(関西圏)では、ゴールデンアワーに2つのスポーツ番組が放映されていました。バレーボールとフィギュアスケート。しかし、プロ野球のクライマックスシリーズは地上波では観られませんでした。中高年の男性にはにわかに信じられない事態ではないでしょうか。風呂上り、ビール片手にナイター中継を観る、っていうのが日本の正しいお父さんの姿だったはずなのに■戦後日本において、プロ野球が何故あれほどの人気を博する娯楽となったのか。そして何故近年その地位を追われつつあるのか。わが国に暮らしている人なら誰でもその理由のいくつかは思いつくでしょう。しかし、放送局は長年優良コンテンツとしてプロ野球にお世話になり、共存共栄(今風に云えばWin-Win)の関係を築いてきたわけで、それを論うのもこの場ではどうかと思います。ただ、なんとなく淋しいのです■・・・僕は、子供の頃まで巨人ファンでした。正確に云うと、1974年10月14日まで。この日は、不世出の大打者・長嶋茂雄さんの引退試合の日。でも僕が巨人ファンを止めたのは、長嶋引退のせいではありません。同じ日、長嶋同様巨人軍を支え続けた森昌彦捕手(現・森祇晶氏)が、華やかなセレモニーもなく、地味な記者会見だけで現役そして球団を去ったからなのです■もちろん長嶋選手も大好きでしたから、V10を逃した直後のこの日、消化試合となった中日とのダブルヘッダーの中継を、テレビの前で正座して観ていました。第1打席、現役最後のホームランでも、最終打席の全力疾走でも、名高い『永久に不滅』の挨拶でも、涙したのを憶えています。でも僕はやっぱり森さんの方がもっと好きでした。何故でしょう?■翌春僕は大学に入学し、心理学を学んだりするわけなのですが・・・そこでハタと気づいたことがあります■森捕手は、川上監督の下での巨人軍の黄金期、いわゆるV9時代にはほとんどの試合でマスクをかぶっていました。そしてほとんどの巨人戦は、関西でもテレビ放映がありました。今の野球中継はセンター・バックスクリーン横のカメラの映像がメインですが、当時はバックネットからの画がベースでした。しかも今ほどカメラの台数も多くはなく、カットの切り替えも少なかったはずです■ということは、です。高度成長時代日本の夏場の風物詩・巨人戦の中継で、相手チームの攻撃の時には、画面にはほとんどの時間、森捕手の背中が映っていたわけです。しかも球審を除けば画面の一番手前に!僕はひそかに、テレビ放送開始から70年代半ばまでで、日本で一番長い時間テレビに映っていたのは森捕手ではないかと思っています。だって他に候補思いつかないもん■で、ですね、ここから話は勝手に佳境に入るのですが、アメリカの心理学者の研究で、『単純接触効果』というのがあるんです。つまり簡単に云うと、接触する機会の多いものに人間は好意を抱いてしまう、という法則。何度も同じ音楽を聴いていると、いつの間にかその曲を好きになって知らぬ間に口ずさんでいる、なんていうのが代表例でしょうか。まあ当たり前っちゃあ当たり前の現象ですが、これが世の「広告」というものの理論的裏付けでもあるのです■つまり、僕は少年時代ずっと野球中継を観ていた間に、最もよく接触する『背番号27・森昌彦』に最大の好意を抱くようになったのではないか、と■でも森捕手がたくさん映っていたのはウチのテレビだけじゃなく、日本中ですからねえ。うーん、簡単に屁理屈が崩壊したゾ■やっぱりアタクシ生来、ちょっと脇にあるもの、地味目なもの、が好きなタチなんでしょうか??マジ悩むわあ・・・(艦長)

小屋入り

■秋、ようやく深し。2011年のオシリが見えてきました。なんとまあ恐ろしい。このブログが開設されてから間もなく4回目の年の瀬ということになります■今からちょっとうんざりしてしまうのは、年末のテレビにつきものの、重大ニュース総まくり的なVTRですね。もーいいんじゃないか今年は!?■3.11の地震と巨大津波、原発事故、政権の混乱、大相撲八百長問題、大物タレント突然の引退、アイドルグループの総選挙、地デジ化完了、ウサマ・ビンラディン、カダフィ大佐の殺害・・・そしてきっと、その中で『全ての日本人に勇気と希望を与えた』みたいな扱いで登場するであろう、なでしこJAPANの優勝■まあ、仕方ないことだとは思うんですが、少なくとも今年はランキング形式はやめた方がいいんじゃないかなあ。膨大な数の同胞が命を奪われ、残された人々には想像を絶する悲しみと苦しみが今なお居座り続けていて、環境問題的には世界(地球)にも結構迷惑をかけているわけで・・・。収束どころか、2011年はさらに悪い事態の始まりの年なのかもしれない■もし『2011重大ニュース』というククリで、東日本大震災とAKB総選挙を1本のVTRで扱う番組があったら、僕は、本当にあれです、うん・・・(モゴモゴ)■ちなみに僕は、なでしこが優勝しようが、イチローがMLBの安打記録を塗り替えようが、日本がオリンピックで金メダルを百個獲ろうが、残念ながら『勇気』はもらいません。逆に、『たしかに素晴らしいし嬉しくなくはないけど、これは他人事。自分が頑張らなきゃ明日からも僕の生活は一切変わらない』と思ってしまいます■ん?それが『勇気』なのかな??

激富.jpg■さて、ABCホール初登場の激富さん、本日小屋入りされ、仕込み真っ最中です。かつて劇団☆新感線に在籍していたフランキー仲村さんが結成したコント集団『激男富田林』を前身として、1992年に旗揚げされたとのこと。だから、『げきとみ』ではなく『げきとん』です。私不勉強にして未見です■とても立体的で大掛かりな舞台装置が立ち上がっています。ちょっとダークな近未来日本を舞台に繰り広げられる、電脳と音楽の戦いの物語・・・みたいです。楽しみです(艦長)

激富2011 『夏嵐~げらん~』

11月 11日(金)       19:00

     12日(日)  14:00 19:00

     13日(日) 13:00 17:00

※受付は開演1時間前、開場は開演30分前

※一部前売り完売、完売間近の回があるようです。最新情報は劇団公式サイト

もつ鍋の夜

■本日ABCホールでは、『仮面ライダーオーズ/OOO』で大人気を博した俳優、渡部秀さんの20thバースデーイベントが開かれています■つい十数時間前までは、つかこうへい&伊藤えん魔の濃密な劇世界が作られていたステージに、今はJUNONボーイですよ!いやはや振幅が大きい■20歳の誕生日といえば、ふと思い出したのが、1994年3月末に心斎橋筋2丁目劇場で観た、千原ジュニアの20歳の誕生日ライブ。初めて彼に会った夜です。たしかイベントのサブタイトルが『単なる通過点』でした。彼らしいというか・・・正直ちょっとサムいんちゃうこれ!?■その後のジュニアの波乱の人生を思えばむしろ出発点だったわけですが、このタイトル、彼が十代にして既に大阪でカリスマ的人気を誇っていたことの証明でもあります。先日ABCテレビで放送された特番『復活!すんげー!Best10』の収録の時、久しぶりに話すことができたのですが、シャベリの安定感はやはりすごいな!と感じ入りました。

耳 001.jpgさて、昨夜はこれも久しぶりに打ち上げ参加。伊藤えん魔プロデュース『蒲田行進曲』の打ち上げに少しだけお邪魔させていただきました。『熱血版』、『狂乱版』とも大好評、客席を笑いと涙と感動の嵐に巻き込んだ6ステージでした■なんというか僕なりの変なこだわりで、日頃年下の人の前で昔話は絶対しないように自戒しているのですが、ちょっとだけ、つか芝居、そしてつかこうへいさんの思い出話をしてしまいました。ああ恥ずかしい。

■伊藤えん魔プロデュースは、次は来年2月おそらく新作上演とのこと。恐ろしいペースです。しかし楽しみ(艦長)

すみません

■雨の大阪、金曜日です。

さて、あっという間に完売してしまったこともあり、「イベント情報」のページでお知らせしていなかったのですが・・・実は今夜、素敵な落語会が開かれます。『柳家三三独演会』。

■柳家三三(さんざ)さん、37歳。受賞多数、気鋭の江戸落語家。あの、僕も出たくてたまらないTV番組『情熱大陸』に取り上げられた、本当に数えるばかりの噺家さんの中の一人です。しゅっとしてはります。さあ、どんな高座を見せていただけるのでしょうか!? (艦長) 三三.JPG

ベルトがきつい

■『キダリダ』、いいお芝居でしたよー。舞台は大阪、扱われているのは、いわゆる「在日」の人々の問題。・・・こう書くと、非常に重苦しい作品のようですが、幼馴染の三人の男たちを中心とする登場人物のやりとりはほのぼのと懐かしくギャグもたっぷりで、決して暗い芝居ではありません。展開はシリアスですが、最後は希望を抱いて劇場を出ることが出来ます■この種の演劇はメッセージ性とエンターテインメント性のバランスが難しいと思うのですが、そのあたり、とてもよく考えておられると感心しました■さて、この『キダリダ』の合間に、私先週末はちょこちょこ他劇場にもお邪魔しまして・・・■まず木曜に一心寺シアター倶楽でダンスユニットN-Trance Fishの『DRAWING』初日を鑑賞。N-Traの作品は、ダンスが目的ではなく手段になっているところが、門外漢にとても優しい。ダンスを中心とした身体表現に音楽・照明が融合して、ガッツリした「意味」とか「イメージ」を具現化してくれるところにワクワクしてしまいます。まあ僕のような立位体前屈マイナス20㌢みたいな人間は、「動ける人たち」を見ているだけで気持ちいいのですが、今回はさらにライブペインティングの要素も加味されて、前回以上に堪能させていただきました■そして金曜夜は『キングオブコント2011』をビデオ鑑賞するはずだったのですが、うっかり録画予約を忘れ前半を見逃し!残念!KOCって、1本目のネタの方が面白いことが多いって気がしません?■そして、何とか『キダリダ』チームの撤収を見届けた日曜夜。その『KOC2011』のセミファイナリスト・阿佐ヶ谷姉妹と、『M-1グランプリ2006』のファイナリスト・変ホ長調という女性2組の合同ライブ『大器晩成2』を観にワッハ上方の上方亭へ。ご存知かとは思いますが、変ホ長調はM-1決勝に残った唯一のアマチュアコンビ、阿佐ヶ谷姉妹は、「細かすぎて伝わらないモノマネ」企画で、安田祥子・由紀さおり姉妹を演じて話題になったコンビですね。いやー、大変結構なものを拝見しました。お笑い事務所育ちの若手とは全く違う味わいの、『素人上等!センスで勝負!』みたいな、確信犯的笑い。コンビネタあり、合同コントあり、全作品ハズレ無しでした。というわけで、現在私お腹いっぱいです■でもいつの間にかお腹はへるのよね(艦長)

世界について

■劇団レトルト内閣さん、昨日小屋入りされまして、初日は明日金曜日、今回はガッチリ2日仕込みというわけです■「エレガンスロック」と称する音楽のみならず、セットや衣装などのビジュアル面にも毎回強いこだわりを持って臨まれるレトルト内閣ですが、《10周年記念公演 『猿とドレス』》と銘打たれた今回の作品、ずばりテーマは『着ること』、『装うこと』だとか。題材はどうやらアパレル・デザインの世界ですね■この間劇団のおしゃれなウェブサイトを開いてみて驚いたのですが、今回の作品の特設サイトの中に、『登場ブランド紹介』というページがあります。すごいね!作品に登場するいくつかのブランド名(もちろん架空の)に続いて、その特徴、モデルによるコーディネート写真、ロゴ、ターゲットなどが詳細に記されています。いやーここまでこだわったお芝居ってそうそうないんじゃないですか?世界がしっかり構築されているというやつですね■

・・・っと、実は今、『世界』のところを思わず『世界観』と書きそうになっている自分に気づきました。最近よく使われる『世界観』の用法です■数日前、Twitter上で、ある関西の劇作家・演出家の方が最近の『世界観』の使い方について苦言を呈されていたのを、さっき突然思い出したのです。おそらく、僕もこのブログで過去に何度か使っていると思います。普通に『世界』とか『世界設定』でいいところを、流行につられてつい『世界観』なんて■この用法は、おそらく80年代以降、小説、マンガ、アニメーション、RPGなどのジャンルで、異世界ファンタジー系の作品作りやその評論などの中から生まれてきたような気がします。おたく的な用法と云えるかもしれません。要は登場人物たちがいる『世界』の『設定』という意味ですよね■本来の『世界観』とは、《万物は神が創り給うたのだ》とか、《人間の歴史は階級闘争の過程である》とか、《生物は所詮遺伝子の乗り物に過ぎない》とか、つまり文字通り『世界の見方』であって、『設定』ではない■しかし思えば、日本語の『世界』という言葉は元々「衆生が棲む領域」といった感じの仏教用語なので、いわゆる地理的な表現以外に、古来実にさまざまな使い方をされています。さっき僕が無意識に使った「アパレル・デザインの世界」もそう■芝居で云うと、歌舞伎で使われる『世界』が特徴的ですね。物語の背景となる歴史的事件、伝説、先行作品などから規定される、「話の大筋」、「登場人物」、その「性格」や「人間関係」など、劇作をする上でも鑑賞する上でも前提となるような枠組のことですね。『仮名手本忠臣蔵』という先行作品があって、その《忠臣蔵の世界》の中で、今で云うところのスピンオフ作品として作られた、『東海道四谷怪談』。つまり、歌舞伎の『世界』って考えてみれば昨今使われる『世界観』に非常に近い!...深いなあ■思考と論旨はぐるぐる回っちゃうんですが、日本語ってやっぱり面白いよな、と感心した次第であります(艦長)                     

猿とドレス.jpg劇団レトルト内閣 『猿とドレス』

9月 16日(金)        19:30

    17日(土)  15:00  19:00

    18日(日)  13:00  16:00

※当日券は開演45分前から、各回10~20枚発売されます

最高の3Dは究極の2Dだった...

■3D映画がすっかりお馴染みの存在になってきました。最近は劇場で渡される専用メガネが回収されなくなって、次回それを持参すると料金がちょっと割引になったりします。巨大メカの戦闘シーンとかカーアクションとかでは、明らかに3Dの効果が強く表れるような演出が施されたりもして、映画という芸術のあり方にも影響を及ぼし始めているような気がします■でもやはり、最も迫力があって3D映画の値打ちを感じてしまうのは、空中シーンですよね。それも、鳥のように自由に空を飛び回るみたいなやつ。僕は何といっても『アバター』、それに『ヒックとドラゴン』で、主人公が翼竜にまたがって飛翔する場面のリアルさが忘れられません。最初はうまく竜を操れずヨレヨレだったのが、慣れるにしたがって自由自在に旋回し、急上昇し...。最新の映像技術は、座席に座ったままこんな感覚を味わわせてくれるようになったのか、とびっくりしたわけです■しかし実は、昨日それを上回るような『飛翔』体験をさせてもらいました。ABCホールで上演された劇団かかし座の手影絵を後方から鑑賞させていただいたのです■1時間強、実にたくさんの動物たちがたった4人の俳優さんの『手』だけで描写され、名作童話やオリジナル・ストーリーが演じられました。・・・もうほんとにあのアイデア、そしてそれを実現するテクニック、皆さんのコンビネーション、凄いの一言です■中でも僕が感動してしまったのは、『みにくいアヒルの子』です。誰でも知っているオハナシです■アヒルの巣で、卵が次々と孵ります。ところが、最後に生まれた雛だけが、他の子と姿が違う。この、「アヒルの雛」と「みにくい雛」がちゃんと描き分けられているんです!小さな手の影で!・・・いじめられ仲間外れにされた「みにくい雛」が、水面に顔を伸ばします。すると、その水面に顔が映るんです!それを見てわが身を嘆く雛・・・(それにしても、影絵の鏡像表現て!)・・・やがて雛は、ひと冬を経て美しい白鳥へと成長します。そのメタモルフォーゼ描写が素晴らしい。そして最後!仲間の白鳥たちと共に大空に羽ばたいてゆくシーンで、僕は不覚にもウルっとしてしまったのです■どんな3D映画より、あれは飛んでましたよ確かに。白いスクリーン上の黒い手の影の動きだけなのに・・・

■今回は、かかし座さん初の関西での一般公演だったのですが、前売券は早々に完売、その人気もなるほどとうなづけたのでした。かかし座未体験の方、次の機会には絶対見た方がいいです、うん(艦長)

数日間どよんとしてました

■とても衝撃的な出来事が起きて、更新が滞ってしまいました。紳助さんが引退を決意するに至った事実の経緯や心の動きは報道された以外知る由もありません。でもひとつだけ云えるのは、とてつもない技と力を持ったお笑い芸人をTV界が失ったということです■4年前、『紳竜の研究』というDVDが発売されました。漫才ブームの立役者であったコンビ《島田紳助・松本竜介》の軌跡、TVではほぼ完全に封印されている往年の漫才が何本か(その中には、僕が今までに見た全ての"漫才"の中のモスト・フェイバリット作品である『THE MANZAI2』における紳竜のネタも含まれています)。そして、2006年早春、元相方・竜介さんが倒れたのを知り、滞在していた沖縄から急遽大阪の病院に駆けつける紳助さんのドキュメントも収録されているとか。この映像は、50歳の誕生日を大好きな沖縄で迎える紳助さんに密着するというABCの番組の制作中に偶然撮影されたものです■僕はこのDVDを発売直後に購入したのですが、実はまだ封を切れないでいます。ありませんか、そういうの?すごーく見たいんだけど次の機会に取っておこう、みたいな、見るのに決意と体力が要る作品■でも今夜、『紳竜の研究』見てみようかなあ・・・

■さて今日、ABCホールでは、大阪大学大学院教授の石黒浩さんと大阪大学教授でもある劇作家・演出家の平田オリザさんの共同作業による、『ロボット演劇』と『アンドロイド演劇』が上演されています(イベント情報ページに掲載していませんでした。すみません)■先ほど僕も拝見しました。お二人の書かれたものや報道などで存在は知っていたのですが、もちろん初体験。いやー、生身の俳優と人間に似せた機械が対峙しているという、その関係そのものがもたらす緊張感がすごいです。この不思議な感じというのは、人間の俳優に『役』が与えられ、戯曲に書かれた虚構のやりとりが始まるときの、独特な空気を更に濃縮したようで・・・つまり、実に演劇的であるといえるのではないかと思います。まだ実験的な色合いが濃い作品ですが、近いうちに本格エンターテインメント演劇にロボット俳優が進出する時代が来るかもしれません■あ、アンドロイド能楽はどうかなあ。能のシテ(主役)って殆どの作品で面をつけていますから、最初から面に似せた顔のアンドロイドを造形するとか。何かすごく刺激的な芸術になりそうな気がするのですが...(艦長)

本日小屋入り

■京都・五山の送り火、昨夜終わりました■陸前高田の薪の使用につき判断が二転三転した例の一件で、「京都人ってやっぱりアレよねー」って全国から思われたんじゃないかと気になるわけですが・・・■でもひとつ良かったかなと僕が思うのは、妙法とか舟形とか、いろいろな送り火の映像が昨夜から今朝にかけてニュースやワイドショーで流れたお蔭で、あー『五山の送り火』って云うんだ、と全国の人に知ってもらえたんじゃないかということですね。五つのうち大文字がやはり断然有名なので、ヨソの土地の方がよく『大文字焼き』なんて呼んだりするのですが、これ、実は京都人が非常に忌み嫌う表現なのです■この言葉を耳にすると京都の人ははぁ?大文字焼き、て・・・どこのおまんどすか?』なんて嫌味を云ったりします(おまんはお饅頭のことですね、念の為)。少しはそんなヤなやり取りが減ればなーと、郊外育ちの中途半端な京都人である・・・つまり「ほんまの京都」人からは京都と認めてもらえない地域に育った・・・僕はひっそり思ったりするわけで・・・どうでもいいか(ちなみに、大文字だけを指すときは「大文字の送り火」と云います)。さて

■劇団鹿殺しさん、今朝小屋入りされましたー■現在は東京で活動中の鹿殺しさんですが(この"さん"付けは変だね)、もともとは2000年に関西学院大学で旗揚げされた劇団、つまりルーツは関西なんですね。東京に拠点を移してからもどんどん動員を伸ばし、最近では本多劇場、青山円形劇場というメジャーな小屋に進出、ここABCホールには初の凱旋公演となります■若手劇団らしい猥雑で混沌としてハイテンションな舞台なんですが、どこか品があるよなー、というのが僕の印象。観劇回数は少ないですけど、好きです■今回は、「猫のホテル」の千葉雅子さん、「ナイロン100℃」の峯村リエさん、と先輩劇団から大人気女優をゲストに招いての『夏の女優祭り』。鹿殺し座長で演出の菜月チョビさんを加えた三人で「岸家の三姉妹」を演じるそうです。ABCホールでは朝から舞台づくりが続いているわけですが、普段なら客席となるフロアの中央に、柔道の試合場らしきものが組まれています。どうやらとてつもなく激しい芝居のようです■金曜初日、楽しみだなー(艦長)

岸家の夏.jpg劇団鹿殺し 夏の女優祭り

『岸家の夏』

8月19日(金)       19:00

   20日(土) 13:00  18:00

   21日(日) 13:00 (前売完売)

 ※各回当日券は発売。お勧めは土曜の夜とのこと

 

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